紙風船36号
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「京都大学児童文学研究会かみふうせん」のメンバーによる、短編作品集です。今年は文庫サイズになりました ↓作品紹介 「読書エッセイ『ペーパーボーイ』『コピーボーイ』」中野花菜 アメリカの作家ヴィンス・ヴォ―ターの作品についてのエッセイ。この作品には読点(原文ではコンマ)がないそうです 『とじぇんなか日々』はちひめ 小学六年生の主人公誠也は、日常のなかで「さびしさ」に出会います。遠くに引っ越したいとこや昔のことばのことを思いながら、自分の生まれたまちを相対化する視点を得ていきます 『幽霊製薬会社』絵森四季 『灯をまく』豆腐小僧 『からかさお化けとから回り』豆腐小僧 『幸福の星』待田灯子 大きなお屋敷で物語に囲まれて育ったメリアは、ある日町に出て魔法使いのような青年カイルと出会います。カイルが語るのは、メリアの知らない「めでたし、めでたし」では終わらない物語でした。果たして悲しいお話には意味がないのでしょうか?おとぎ話の雰囲気を湛えつつ、切な問いを投げかける作品です。 『面』待田灯子 「私」は父の顔も母の顔も知りません。というのもこの村では面を被って生活するのが日常だからです。父は「顔とは不気味なものだ」と言いますが、「私」の兄はそのような村の掟に疑問を呈します。面を外したときに起こることとは一体……?どこか妖しい雰囲気を醸す、民話のような作品です。 『満月のまえ、夏のまえ』苹果 得体の知れない不安に苛まれた「私」はハーゲンダッツのバニラを求めて夜のコンビニへ出かけますが、どうしても足がすくんでしまいます。そこで川に向かった「私」が出会ったのは、青い体操ズボンを履いた子どものキツネでした。「私」のやるせない心情と、こぎつねとの交流の温かさがすてきなコントラストを成す作品です。 『ごきげんなどうぶつ』苹果 「片言のタヌキにハモニカ習ってる掃除と洗濯明日にまわして」 「観劇の余興さめやらぬオグロヌーエスカレーター逆走してる」 かわいく愉快な動物たちの姿が詠み込まれた、クスッと笑えて温かい小歌集です。きっとお気に入りの歌に出会えます。 『食事をしましょう』苹果 寂しさと恐怖に震える日々を送っていた「私」はある日動物園で熊に出会いました。 「食事をしましょう」 熊は私にそう言うのでした。それから一人と一匹は共に食事をするようになるのですが――。美しく透き通った言葉が紡ぐ、散文詩的小説です。 A6 126ページ