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始まりの樹
祈り人は、街のみんなから「始まりの樹」と呼ばれている、街の外れにある大きな大きな樹へ一人で向かいました。 あまりに大きくて、街の中心からでも、その存在がわかるのです。 始まりの樹にたどりつき、樹を見上げると、あまりに立派な姿に驚きました。 人々が灯した灯りが、樹の枝に多く多くとりつけられていて、それがたわわに実る実のようでした。 木の下には、一人の女性が座っていました。傍らには、油の切れたランプが置いてありました。 祈り人は、その女性に、この街のこと、この樹のことを、ぜひ教えて欲しいと言いました。 女は話しました。 「昔は、光に照らされて、黄金と虹色の世界が広がっていたと聞いています。 その世界を恋しく思って、皆灯りを灯すようになりましたが、 いつ切れてしまうかわからない電球のように、その灯りも毎日ちらつき、理想の世界とはほど遠い世界のままです。 私たちを覆い隠す数えきれない枝や葉が、まるで夜の闇のようです。 それでも、ただ怯えさせるのではなくて、 夜には夜の美しさを見せてくださるのは神様の愛ですが、 永遠に輝く光を投じてくださる方が訪れることを信じて、みんながずっと待っています。」 祈り人はそれを聞いて、答えるように話しました。 「光を灯すのは、夜を抜け出すまでの松明のようなものであって、夜の中で生きるためのものではありません。 その方がもしも訪れたら、永遠の暗闇を抜け出すために持つべき永遠の光を手渡し、夜を抜け出す力と道さえも与えてくださるでしょう。」
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