虎落笛
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サイズ:A5 形 体:コピー 頁 数:16頁(表紙込) 発行日:2019.12.29 鳥羽伏見の戦いに敗れ、京を引き払う前に休息所で過ごす、最後の夜。 薄暗いのに糖度は高め。
虎落笛
篠笛を強く吹くような、子を亡くした女の慟哭のような。 か細く、それでいて激しい音が響く。幾度も、幾度も響いてくる。 「虎落笛、か」 目を閉じて耳を澄ましていた土方が、ゆっくりと目を開けてそうつぶやく。 「もがりぶえ…?」 聞きなれない言葉に、音だけをなぞったのがよくわかるような発音で、斎藤が繰り返す。 幼子のようなその姿に土方は小さく笑みを漏らし、傍らに積んだ書き付けを火にくべた。 「虎に落ちるに笛で、虎落笛と読ませる」 冬の激しい風が柵や竹垣に吹き当たって発する、笛のような音を言うのだと、土方は斎藤に教えてやる。 (以下本誌にて)
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