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サイズ:A5 形 体:コピー 頁 数:24頁(表紙込) 発行日:2022.3.21 閃華春大祭2022にて発行のくりんば本(コピー誌)です。 足利での国広再臨に寄せた、息子さんを俺に下さいしにいく大倶利伽羅のお話となります。 審神者及び本霊の捏造、当本丸においての独自設定を大量に含みますので、ご注意ください。 注意! 【尭風舜雨】に再録済です。
吹花擘柳
奉書紙を柔らかくなるまで丁寧に揉む。下拭いと上拭い用に二枚、ここで手間を惜しむと後の作業に差が出るのは、ここにいる誰しも思い当たる節がある筈だ。 『こんなに柔らかくなるものなのか…?』 見かねて取り上げた紙を殊更念入りに揉んで柔らかくしてやってから差し出してやる。 取り上げた時は随分と不服そうな顔をしていたくせに、今はただ目を丸くしている表情は、何処か幼い。いつも気を張って、硬い表情をしているのばかり見ていたから、そんな表情も出来たのかとこちらも少し、目を見開く。 『あんたは周りにはやりすぎなくらい気を遣う癖に、自分の事をおざなりにし過ぎる。確か に傷は主の手入れで直るかもしれないが、日頃の手入れは斬れ味にかかわるぞ』 一撃で仕留められると思ったものが、仕留め損なうかもしれない。僅かな欠けが、罅を生むかもしれない。だから、手入れをきちんとすることは、己自身のためだけではなく、あんたが大切に想う、周りのためでもある。 『…そう、だな』 手に持った拭紙を握ったまま、噛み締める様に何度か呟く様子に、無意識に手を伸ばす。 (後略)
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