超豪華合本版 不知火雪之丞 一の巻 幕末の闇を斬る!
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この書籍は、以下の書籍の合本版です。文字数も5万字を超えていて、一話一話お求めになるよりも大変お買い得になっております。 「痛快時代小説 不知火雪之丞vol.1 おんな女衒の刺青」 「同 vol.2 徳川家康の秘宝」 「同 vol.3 武士の時代の終わり」 *以上は、KindleとBOOTHで発売中 「不知火雪之丞・外伝 大江戸阿片窟」 *noteで連載中(2025年11月10日現在) 「ホラー戦国時代小説 魔性の女」 *KindleとBOOTHで発売中 「創作裏話」 *当書籍オリジナル 【不知火雪之丞とは】 頃は幕末。「これから日本はどうなるのか。暮らし向きはどう変わるのか」世の中の人々は不安の日々を送っていた。 一人の浪人、不知火雪之丞は、そうした世情不安をよそに、剣の道を歩んでいた。 その日、老中、田嶋筑前守が、雪之丞の腕を見込んで密命を下した。 「幕府転覆を狙う薩摩藩の内情を探れ」 雪之丞は旅に出た。雪之丞を待ち受ける薩摩藩の刺客との死闘……。 この一連の物語は、華麗にして悲運の剣士、不知火雪之丞の物語である。 【本文の紹介 「不知火雪之丞・外伝 大江戸阿片窟」から一部抜粋】 7.死出の旅に行く男 三島宿の、柳小十郎の家で、おかしなことが起きた。 その日、晩飯のおかずにと、煮つけをさらに丼にもって運んできた弓を、小十郎は返そうとしなかったのである。 「今夜は、泊まっていってはくれぬか」 まさか小十郎がそのようなことを言うとは思わなかった。 弓は、大喜びで、庵に上がって、一緒に晩飯を食って、風呂も一緒に入って、夜は一緒に寝た。 翌朝、まだ夜が明けきらぬ頃、ひどく気になることがあって、弓は目を覚ました。 小十郎はまだ隣で寝ている。 (よかった。どこかへ行ったかと思った……) そう思う反面、まだどうしても気になる。 小十郎の背中に、弓は言った。 「小十郎さん」 小十郎は返事をしなかった。 「あんた、死のうとしてないか」 「ひょっとしたら、そうかもしれぬ」 と、小十郎は、背中を向けたまま、言った。 「死んじゃいやだよ」 弓は小十郎の背中に取りすがった。 小十郎は、弓の方を向くと、 「必ず、帰って来る」 と言った。 昼近くになって、深編笠の浪人が三人、庵に来た。 小十郎は、旅支度を整えると、浪人たちとともに、街道に出た。 途中、畑を耕している弓を見たが、目礼をしただけで通り過ぎた。 一陣の風の向こうに、小十郎の姿は消えて行った。
