「女帝アーザルミードゥフト」のお試し版です。
栄華を極めたサーサーン朝ペルシアは落日の刻を迎えようとしていた。
アケメネス朝以来の版図を築いたホスロー二世の栄光は槿花一朝の夢と終わり、彼の死後、貴族たちの抗争とアラブ人の侵略によって帝国は内憂外患の危機的状況におちいった。
若き美貌の女帝アーザルミードゥフトと名門イスパフブト家の御曹司ロスタムは帝国の混迷をよそに、ひたすら恋の成就を夢見ていた。
だが、ロスタムの父であり、サーサーン朝ペルシア最大の諸侯ファルロフ・ホルミズドのある申し入れが、二人の人生と帝国の未来とを大きく揺さぶっていく。