クトゥルフ神話TRPGシナリオ "魚伯行(Yú bó xíng)"
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『子は叫び、子は呼び、子を求め、子へ赴く』
◆概要
時代は1940年代。冷え込みの強い一月の時節。 イギリス領として香港が接収されてから長らく、香港は外国の支配下にありながらも栄えていた。金の集まるところは出所も多く、繁華街は街の至るところにあり、海から眺める幻想的な風景として夜に花を咲かせている。 日本の暴走の始まりとも言える上海事変があってからというもの、その矛先はやがて香港に向いた。"香港作戦"によって日本軍に占領され、平穏な香港は瓦解した。しかし占拠こそされたものの、戦火を受けて焦土と化したわけではない。戦地になった場所以外は姿を保ち、大半の土地は機能や物資をそのままに接収された。敗戦国の常として街の活気は乏しく、多くの日本人が戦争により失った物資を現地から収奪し補填していったことで、かつての活気や街の雰囲気は損なわれた。それでも住めば都とはよく言ったもので、香港作戦から1年も経過すれば多くの人はそれに慣れていった。常日頃から生命が脅かされるわけでもないなら、それに慣れることもまた人の強みである。 反日感情の高まりは激しく、しかし所詮は半端な武装と乱れた統制によるもの、軍政による治安維持を受けて縮小していき、荒れた香港の治安は速やかに元の形に戻っていった。探索者はその渦中にあり、また無事にやり過ごせた一員として現在も居を構えている。軍政は探偵業に濃く影を落とした。締め付けるような統治下においてはよからぬ画策もし難く、誰もが粛々と過ごす習慣を身に付け、探偵に出番が求められる場面は減っていった。 そんな探偵たる探索者の元へ仕事が訪れた。先の香港の戦いを生き延びた英国人の捜索依頼である。場所は香港島の対岸、海を隔てた九龍地区の北部。 悪名高き無法の都、九龍城砦。
シナリオ傾向
推奨人数:2〜3 戦闘:有 分岐:少 危機的状況:多 正気度喪失:多 有用技能:聞き耳 信用 追跡 ナビゲート 戦闘技能 回避 歴史 応急手当
HO1:探偵
探偵は香港島に住んでいる。探偵の仕事は街に活気があるときこそ輝くもので、日本陸軍憲兵隊がその代役を無作法に買って出ているために出番は奪われている。シナリオ開始前から1年の間は、浮気の調査であったり、不審者の追跡であったり、それらは先の香港作戦の影響を受けて鳴りを潜め、退屈な毎日、食費などにより日毎に消費していく財産と向き合わなければならない日々を送る実情があったことだろう。 探偵の技能について特に制限は設けないが、拳銃などを持っていても問題なく、それは交渉の場や戦闘において活躍の場があるだろう。目に見えた脅威は、強引な手段としてしばしば有用である。しかし発砲音は多くの人を警戒させるものだ。然るべき場でなければ、それを使用するには少なからずリスクを伴うことだろう。 ※協力者と共に過ごしているかは自由に設定してよい。
HO2:協力者
協力者は香港島に住んでいる。探偵には頼れる者がいることが多い。彼らは万能ではなく、何かを見張るとき、誰かが背中を見ていなければ、背後からの襲撃に気づくこともできない。背中に目はないのだから。協力者は探偵の背後の目であり、また第三、第四の手足である。 協力者は探偵に不足しているものを補う技能を持っていることが好ましい。秀でた分野が共通していてもよい。彼らは雇い主で、自らができることは自ら行い、手が及ばないところに協力者の手を借りる方が仕事の受け皿を大きくできる。もっとも、現在においては仕事も少なく、雇い主にとって余計な出費を強いる厄介者である可能性もある。それでも放逐しない面倒見のいい雇い主か、必要なときに手伝えばよいと考える合理的な雇い主かは、協力者の幸運次第といったところだ。 ※探偵と共に過ごしているかは自由に設定してよい。
内容
シナリオ本文17ページ タイトル トレーラー シーンカット4種