クリスタルブルー
- 冊子版Ships within 10 daysOut of StockShips by Anshin-BOOTH-PackPhysical (direct)600 JPY
- DL版(小説本文のみ)Digital0 JPY

ツイッターにあげた貘ハル小説の再録集。斑目が創一にくれた「ハル」という名前をテーマに2人が愛を確かめ合う話をまとめています。 本文のみを楽しめるDL版と作品の世界観を目で見て楽しめる冊子版をご用意致しました。
目次
・「アイスクリーム」 ・「1998年11月23日」 ・「休日」 ・「雨のち晴れ」
冊子版スペック
・サイズ:14.8cm×14.8cmの正方形 ・ページ数:16P ・綴じ方:中ミシン綴じ (通常ホチキスの中綴じ製本をミシン糸で綴じています) ☆その他見てほしいポイント ※ミシン糸の色は本の外側と内側で異なっています ※表紙の紙にはガラスフレークが散りばめられているので、角度を変えるとキラキラ光ります ※本文は全文青色です ※表紙2、3印刷があります 何が書いてあるかは手にとってお確かめ下さい
「アイスクリーム」本文サンプル
「いやー今日は外暑いねー。」 そう言いながら、貘さんはわざとらしく手をパタパタと振る仕草をする。僕は並んで歩きながら、そうだね、とだけ返した。こういうときの彼は僕の様子を伺いながら、何かを企んでいるのだ。 「ねえ、アイス食べない?」 近くのオフィスビルに入っている小洒落たアイスクリーム屋さんを指差して貘さんは僕に提案した。やはりな、と思いながら僕は彼の誘いにのってあげる。 貘さんはストロベリーとチーズを混ぜたカラフルなアイスを注文した。僕はなんとなくさっぱりしたかったので、ラムネ味のアイスをたのんだ。 アイスクリームを片手に僕らはまた並んで街を歩く。貘さんは器用にアイスを食べながら街並みを眺めている。その横顔を見ながら、相変わらず美しい人だな、と思った。ふと我に返って自分の手元に目をやると、買ったアイスが溶けて手までしたたり落ちている。その様子が、記憶をなくして世界から消えていく自分と重なり、どことなく切ない気持ちになった。 「あーっ!アイス溶けちゃってんじゃん、ハル!」 聞きなじみのある声が降ってきた。貘さんの声だ。彼はそう言うと僕の手をとって一口でアイスをたいらげてしまった。 突然の出来事に目を丸くする僕に向かって 「ハルの分いただき。お前がボーっとしてるからだよ。」 といたずらっぽく笑ってみせる貘さん。 その笑顔を見て、僕は安心して涙が出そうになった。貘さんならいつだって僕が世界から消える前に見つけてくれる。そう思ったから。