黄海に旭は沈む(コピー本版、完売&再販予定無)
- 200 JPY
pixivとprivetterに上げていた鯉登平之丞夢「黄海に旭は沈む」(https://www.pixiv.net/novel/series/1391818)に少し手直しをしたコピー本です ※表紙素材に厚紙用紙+トレーシングペーパーを使用しています サイズ:A5 本文ページ数:40ページ 値段:200円+α
あらすじ
鯉登平之丞。 原作では鯉登音之進の兄、そして父親である鯉登平二とともに日清戦争を戦い、大破炎上する防護巡洋艦「松島」の艦上で亡くなったという事実以外に触れられなかった彼にスポットを当てたお話です。 平之丞の兵学校時代からの同級生である夢主の視点を通して、彼の成長・生き様を見届ける友情夢になります。 青春のときに彼が何を考え、思い悩んだのか。彼が海軍佐官の父の影で彼が見つけ出した将校像とは? ――――――――――――――― 元より、自分自身に頭を下げるものなど居ないことは理解していた。尋常小学校に通っていたときも中学校に通っていたときも、平之丞には心の底から信頼できる友達が出来ることがなかった。平之丞の生活は同級生のそれとは余りに違っていて、どれだけ彼が謙虚に接しようとも感情の整理のつかぬ子どもにとってはささくれだった心を刺激するものに他ならなかったからである。 兵学校に入れば変わるだろうか? ――否。 平之丞には却って状況は悪化したように思えた。なまじ父親の名が通っているばかりに、平之丞とは一言も交わさず距離を置かれ、何か雑談でもしようものなら相手はびくびくと瞼を震わせて顔を青くするのだった。 ――私に無礼を働けば、首でも撥ねられると思っているのだろうか。 一周回って滑稽にも思えた。 既に学徒の居ない教室の窓から、瀬戸内海の水平線の向こう側に沈む燃えるような夕日を眺めた。ゆらゆらと揺れる海の上には小さな漁船がぷかぷかと浮いていて、大きな陽に融けて消えていくようであった。 「……私に軍艦は務まるだろうか」 ――小回りの効く小さな船であれば、私も小さな港で同じ様な背丈のものと、ぎゅうぎゅうにひしめくことができたのだろうか。 ――――――――――――――― (第一章『江田島の海』より抜粋)
注意事項
⚠本作は『夢小説本』です。 ・夢主の名前は「夢野 夢主」です ・無性別(男主としても女主としても読めます)、夢主は一貫して軍人口調です ・兵学校での生活・平之丞の性格等捏造が多分に含まれています ・恋愛要素はありません ・物語の都合上死ネタが含まれます。救済ルートはありません