君と彼女と殺戮兵器
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オールキャラ/新書サイズ/2段/360p/約20万字/8部構成 価格:2500円(送料別) シリアス戦争もの。 ※この作品はフィクションです。実在した銃の名称や歴史の引用がありますが、実際の団体、人物、銃とは関係がありません。 ※製本後に見つけた誤字脱字を含みます。
pr.『君と殺戮兵器』
――イギリスは夏。 期末試験を終えて自由の身となったフィルクレヴァート連合士官学校の士官候補生たち。最中、マスターに世界平和会議のスピーチ依頼が届く。
第2幕『軍事技術者と89式5.56mm小銃』
「…あの子だって軍人なら、生きているうちに人を殺すこともあるだろ」 マスターのスピーチ原稿作成を手伝う八九。ちょっかいをかけるのは、アメリカ人物理講師のリチャード。オタク気質の彼が、煮え切らない八九の背中を蹴り飛ばす。 少しだけ不思議な、夏の怪異にヒヤリとさせられたりして。 「その時にお前は、一生許されない十字架を背負わせるわけか」
第3幕『戦場心理学者とFN FAL』
「ファブリックナショナル社の軽量自動小銃?FNFALの貴銃士?」 マスターのスピーチ練習を手伝うのは心理学者のユルゲン准教授。練習の付き添いに来ていたのがファルだと知るなり、彼は子供のようにはしゃいで会話の約束を取り付ける。 心理学者と二人きりで話すときはご注意を。 「私を呼び出して何のお話を?私に思い入れがあるという話でしたが…言っておきますけど、私は世界帝軍時代の話はできませんよ」 「あぁ、あれは嘘です。父が貴方を使っていたことは本当ですけど、思い入れなんてこれっぽっちもありませんよ。僕もね、記憶、あんまりないですし」
第4幕『少女の追憶とL85A2』
「………『顔に出ないタイプ』だと親友に言われました。まだ初対面の頃でしたけど…彼女が言うには、そうなのだろうと思います」 「………。ヴィヴィアン・リントンロッジ?」 「…えぇ」 全員そろってこの学び舎を出ていくのだと信じて疑っていなかった。卒業式に、全員でそろって、笑顔で、真白の帽子を空へ投げるのだと信じて疑っていなかった。 雨の士官学校。雨粒は記憶を洗い流し、マスターから少女の面影を奪う。 「今の時代は写真があります。映像があります。音声があります。…けれど」 雫を絡ませた風が吹きすさぶ。少女の束になった髪を揺らし、末端から体温を奪っていく。 「彼女はもういない」
第5幕『ある軍人とある狙撃手』
――「こんにちは、まだ戦果無き友よ」 一行が会議開催の地へ出発する前日。発砲音にドイツ人教官のジーモンは意識を手放した。 曰く、狙撃銃にトラウマがあるらしい。 祖国の民を救いたい一心でドライゼはマスターの人格を見込んで相談事を持ち掛ける。 人間とはかくも愚かで弱い生き物である。 「………………君は夢を見るか」 「……夢ですか」 「……楽しかった日々、そして、友が死んだ日の夢」
第6幕『戦争哲学者とH&K G3』
『マスター、君のコネクションを借りたい』 「トルレ・シャフなら君の弟のが連絡つきやすいんじゃないの」 『さっきそれで連絡入れたんだけど、着信拒否されちゃって』 「日頃の行いだ」 『ひどいよねぇ』 「君がねぇ」 『言うねぇ』 「『アハハハハハハ』」 平和会議直前に、トラブルが発生する。早急に解決すべく、エルメは戦争哲学者たるグレゴリーと手を組んだ。 エルメは基本、勝てる勝負にしか賭けに出ない。
第7幕『彼女のL96A1』
「君は会うたびに男前が上がっているな」 「…?パーツの交換はされていないから、性能に向上は無いはずだが」 「おっと、そういう所は変わっていないのか」 クク、と老人らしく笑うダンローを見て、マークスは首をかしげた。人間らしさを会得しつつある、ということを言いたかったのだが、それを理解するにはまだ早かったらしい。 さて、宴もたけなわ、夏盛り。 いよいよやっとマスターのスピーチ。鉄と火薬を使わない彼女の戦いが、今始まる。 「本日はこのような機会を頂きまして、誠に恐縮に存じます」
ep.『彼女と殺戮兵器たち』
暗く、暑く、ゆえに輝かしく侘しい夏の夜。 全てを終えたマスターのもとに、来客がやってくる。 ――初恋の相手は高嶺の花くらいがちょうどいい。