林の近くのおうち 木彫り職人が住んでいる。レンガ作りの家の中は木の良い匂い。 木彫り職人の前は絵描きが住んでいた。少し背のある塔からは月や星が良く見えて、絵描きは時折その窓の景色を描いていた。でもここ数年、隣に植えていた木が大きくなって窓を覆い始めてしまった。思い出の窓が隠れて、ほんの少し寂しいおうち。 おおい、こっちに被らないでくれ。 と言っても、おうちと木では言葉が通じない。やれやれ……と諦め半分で煙突からため息を吐いた。 木彫り職人は星を眺める暇もなく、夜になるときっちり食事をとって寝る。なので窓が隠れることは気にしていなかった。けれどさすがに枝が広がったな、と今年は枝払いをしようと木にハシゴをかけた。ところが、ハシゴのてっぺんまで登るとぴたりと動きを止めて、そのまま何もせず降りてしまった。 どうしたのだろう、とおうちが木をよぉく見てみると、太い枝の間に小枝が組んである。小鳥が運んできた巣材だ。 ……ふぅん……そっちも、誰かを住ませる身というならば、まあ仕方ない。 そんな“先輩の顔”をして、おうちはふふんと満更でもなさそうに座り直した。煙突から、職人がコーヒーのお湯を沸かす煙が出た。 - - - 使用画材：オイルパステル サイズ：ポストカードサイズ(10×15cm) 仕上げ剤を吹き掛けてありますが、色移りや色落ちの恐れがありますので引っ掻く、こするなどの力を加えないようお気を付けください。 梱包費削減、環境への配慮から、梱包材に古紙や段ボールを用います。ご理解ご協力をお願いします。(折れ曲がり防止に段ボールをあてるなど)