『芸備線今昔』PDF版
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コミックマーケット(C101)で頒布した冊子と同内容のPDF版です(C101頒布冊子で訂正用紙を入れたページは、このPDFでは修正済みです) B5判オールカラー61ページ 「はじめに」より 芸備線は、備中神代から広島まで159.1kmの路線である。本書は、芸備線の広島県内区間である広島-東城間の過去と現在の姿を写真でくらべてみたものである。芸備線の全線全駅を紹介したり歴史を細かく記述したりしたものではないことを最初にお断りしておく。 芸備線のうち、広島-備後庄原間は私鉄の芸備鉄道が敷設した。当初1915年(大正4年)4月28日に東広島駅から志和地駅まで、続いて同年6月1日に三次(現:西三次)駅まで開業している。その後、1923年(大正12年)には備後庄原に達した。 備中神代-備後庄原間は鉄道省が建設を進め、1936年(昭和11年)に備後落合-小奴可間が最後につながった。備後十日市(現:三次)-備後庄原間は1933年(昭和8年)に国有化され、その後1937年(昭和12年)に広島-備後十日市間も国有化されて、全線が芸備線となった。 本書に掲載した写真は、基本的には過去に私が撮ったものを用いているので撮影地点には偏りがある。広島付近の写真は多いものの、志和口から三次までの間の古い写真はほとんどない。三次と備後庄原、さらに備後落合までは写真が増え、道後山は1988年11月に訪れた際の駅周辺写真が多くある。道後山を過ぎて東城までは、乗車する機会が少なく写真も少ない、という具合である。 「今昔シリーズ」前作である『宇品線今昔』では、友人から過去の写真の提供を受け見開きに同一アングルの写真を並べた。本書も同様の構成を考えたが、芸備線を何度も往復し、資料を探し歴史をたどる中で考えを改めた。 芸備線は幾度にもわたり細かく延伸を重ねて全通に至っている。当時の人々が鉄道を渇望し開通の喜びに沸いたことが想像できる。また多くの駅にかつて貨物側線や農業倉庫があり、貨物輸送が活発だったことが、現在の線路やホームの姿からもうかがえる。さらに、地理院地図の空中写真で沿線の変化を知ってもらうことも意義があると考えて、最近の写真だけを所有している場所も含め紹介することにした。同じアングルの過去の写真がなくても、周辺風景を含めた変化と時間の経過を感じてもらえたら嬉しい。 なお芸備線は備中神代が起点で広島が終点だが、広島寄りの区間のほうが私にとってなじみがあるので、本書は広島からスタートし東城に至る順で構成した。区間表示も広島寄りの駅名を先に記載している。