引用――青葉圭の証言。 事件のあらましはこうだ。全寮制の女学園の夏休みの真っ最中。たまたま、本当に偶然に偶然が重なって、校内にいる教師が一人になってしまったらしい。それが三年一組担任、四葉蓮教諭だ。その四葉蓮教諭が、八月十日十二時十二分、遺体で見つかった。第一発見者はバラ園の管理者・藤井胡桃。その悲鳴を聞きつけてやってきたのが出合茜と江本藍。それから寮母に連絡し、それぞれバラバラに過ごしていた少女たちが集められ、警察に通報された。どうして少女達に疑いが向けられたか、それは遺書が見つからないからだ。自殺をする要因も、動悸も、遺書も、何もかもが見つからない。だからこうして、殺人も視野に入れつつ学内をうろうろする羽目になった。 　昼日中、それぞれ校内及び寮内で自由に過ごしていたらしい十人の女子生徒。聖百合ヶ丘女学園の中には一切の防犯カメラの類いはなく、寮母含めバラバラに過ごしていた彼女達に一切のアリバイはなかった。 A6サイズ 百合・ミステリ