「母が働き、祖母が経営企画する、女三人だけの家庭―それが私の生家だった。二人の期待に応え、優等生になろうと願って成長しながらも、どこの家とも似ていないこの家庭が恥ずかしく、そして重荷だった。うちにはない「男性の匂い」、母と祖母が必死になって消している「性のぬくもり」、それは人が誰でも享受することのできる幸せなのだと、幼いながらに私は知っていた。私がそれを真剣に求めだしたのは、癌で子宮を全摘出し、離婚した38歳の夏だった。子供は12歳と8歳、思春期のただ中にいた娘二人は反抗し、やがて私は自分の手で家庭を解体していった。」 専業主婦から緊縛モデルへ、アダルトライターへ、自らを撮影したAV制作者へと転身した軌跡を赤裸々に書き尽くした体験記。 コアマガジン/2016年刊行 初版本/226頁