伊藤計劃トリビュート:閉ざされた世界と、その敵
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A5 88頁 論考 雨土 透明化する社会と、その敵 13歳で初読の『ハーモニー』の回想を起点に、本作の「「とりあえず」の終わり」に関して、意識バグ、作者インタビューなどで論述する。次いで16歳の上京で携行の『虐殺器官』について『ニューロマンサー』との比較、ジョン・ポール・スコット(動物学者)との繋がりなどを語る。本稿は伊藤計劃への傾注の経験的記憶と学的想像力の賜物だろう。 創作 松原新夜 フランクリン・プロジェクト(前) インターネット・テロリストのイトウはアメリカ建国の父ベンジャミン・フランクリン「13の徳」(価値観)の破壊を企てる。本作は前章でイトウの活動前にひきこもりの「おれ」がいかにして出会ったかを物語る。 創作 湯本実 倉庫にて ネヴィル・シュート『渚にて』(On the Beach、1957)の異文化のような本作はシュートが描いた核戦争後の日常を彷彿させつつも、何かがおかしい日常生活の丹念な描写である。高校時代の友人「きみ」からの招待状に誘われて、倉庫で告げられる13世紀由来の世界の秘密とは。 創作 鷸井湍輝 From Yapooful Archipelago, With Love. 美しき帝国「EHS(イース)──The Empire of Hundred Suns」。「わたし」の祖父は古代思想史研究の先達だった。が、祖父は〝世界の敵〟であった。彼が取り憑かれた真実は<植物>の「虐殺の文法」。沼正三『家畜人ヤプー』と伊藤計劃の混在。 創作 一徳元就 仮想国Who系 徳山丸夫、二十一歳、フリーター。「この春に東京の下の中くらいの私立大学を中退したばかり」の彼は四国の風俗街へ。が、それは血みどろのお遍路と電脳空間への入口だった。ユーモア溢れる硬軟混淆の文体と語り。 論考 あのん のな 哲学は終焉せず唯死ぬ(或いは消滅する?)のみ ―『NieR:Automata』・『Dr.STONE』・『虐殺器官』― プラチナゲームズ販売のアクションRPG、原作・稲垣理一郎、作画・Boichiの漫画と伊藤計劃をスムーズに連関して哲学と小説の問題を扱う。伊藤計劃のポストモダン批判へ、ソーカル事件とバタイユから反証を試みる随想的論考。 装幀・装画 白濱