医療・教育・福祉などの分野に多数の偉人を輩出している名家「徳丸家」。 その徳丸家の名声と財力によって成り立っている関東郊外の中規模都市――枝伏木（えふすき）町。 ある夜、枝伏木町の心霊スポットを取材に来た徳丸学園の新聞部一同は、その場所で二つの死体を発見してしまう。 一人はホームレス風の中年男、そしてもう一人は、自分たちと同じ徳丸学園に通うボクシング部のエリート選手「稲垣昭」だった！ 検死の結果、二人は麻薬の過剰摂取で死亡したことが判明。 この街の麻薬犯罪に徳丸学園の生徒が関係している・・・？ にわかに信じられない推測に、警察はこの事件の解明には学園内での調査が必要だと感じ、徳丸学園の新聞部一同に調査協力を依頼する。 かくして、学園内探偵となった新聞部員たちが調査を開始するなか、新聞部の部長――二階堂教一郎が、稲垣の進路指導の先生より意外な事実を聞かされる。 「稲垣が殺される前日、稲垣はこの学園でもう一人の自分を見た・・・と言って怯えていた」 もう一人の自分――ドッペルゲンガー、そんなものを稲垣は学園内で見たというのか？ しかし問題はそこではなかった。 この学園内でもう一人の自分に遭遇するという話は、実は十七年前の徳丸学園に伝わっていた怪談話だったのだ。 十七年前、学生寮でボヤ騒ぎがあり、それが原因で学生寮は廃止され、封鎖された。その時より、徳丸学園の怪談話は、封鎖された学生寮の中を誰かが歩いている――という話に上書きされた。 在校生も教師も知らない、十七年前に忘れ去られた怪談話「もう一人の自分」が、なぜ今甦ったのか・・・？ その十七年前の怪談話と稲垣昭はどんな関係があるのか？ 二階堂たちはその謎を解明するため、十七年前の徳丸学園と枝伏木町について調査を開始する。 その調査で浮かび上がってきたものは、枝伏木町の闇に隠された徳丸家の暗部だった・・・。そして、次なる殺人が！