───氷の中から恐竜は空を見る。暗雲の切れ間の中に一瞬だけ姿を見せた太陽に、濁る氷の中から恋をする。叶うはずの無い恋だ。なぜなら彼は指一つ動かせない。遠く高い太陽に、手が届くはずはない。とはいえ、酸味の利いた葡萄をあきらめた狐ほど賢くはなれない───  黄金週間に実施される一大行事「川町フェスタ」のさなか、代表に脅迫文が届く。それは最終日の華であるモーターボートレース開催地の爆破予告だった。探偵、警察、JR職員や地場団体、場末キャバクラやアイドルに子供たち、そして猫。一つの街を巻き込んだ神々の遊び。 初期少年憧憬社の足跡を総括。既刊『川町奇譚』『ニーバー、アイ ヘイト ユウ。』に続く、単巻でも楽しめる “のほほんすれ違い群像劇”「川町サーガ」第三弾。 文庫版　/　176頁 作品詳細 http://gold-dust-digging.blogspot.jp/2015/11/176600-web-jr-beatles-she-said-she-said.html