コンセプトストーリー

　好みが同じだと気づくものだ。朝食のデザートから果実酒まで、彼女もパイナップルが好きなのだろうとわかった。そのうちパイナップル柄のハンカチに気づいて、やけに可愛いモン持ってるなと思っていたら、パイナップルのチャームが付いた耳飾りまで身につけるようになった。こういうのいったいどこで見つけてくるんだ、と妙に感心しながら話しかけてみると、パイナップルのテーマパークにも一緒に行ってくれるという。いい年のおっさんが一人で行くのもなァ、と思っていたところだったから渡りに船である。その日はパイナップル料理に舌鼓を打って、パイナップルの栽培から出荷まで学び、彼女はたくさんのパイナップルグッズを買っていて、その日を境に親しく話す仲になった……のだけれど。 　最近彼女はどうやら青い鳥のモチーフにも目がないらしい。部屋で使うマグカップや鞄につけるキーホルダーと増えていき、とうとう大きなぬいぐるみまで手に入れたと嬉し気に話す。彼女が毎晩それを抱きしめながら幸せそうに眠っていると思うと面白く思わない自分がいる。しかし青い鳥は幸せの象徴とも言うし、それにあやかりたい気持ちはわからなくもないが……。 　ある日逗留先の繁華街を歩いていると、装飾品屋の路面店が目に入った。こういうところにはあまり用がないのだが、つい目を引くモチーフのものがあった。鳥の羽のチャームのついた、青い耳飾り。彼女に贈ればきっと喜んでくれるだろう。なんとなく自分まで幸せな気持ちになりながら会計を済ませたマルコなのであった。