私家版近世欧州軍事史備忘録巻8 ナポレオン戦争の背景(上)
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本のサイズ:A5 総ページ数:208 2025夏コミC106にて初回頒布 本書は、18世紀において多くの敗北を味わったフランス軍が、革命期およびナポレオンの時代に栄光を取り戻す変遷の背景を解説したロバート・クインビーの『ナポレオン戦争の背景』の翻訳となります。今回は序章から第三章までを訳出し、以降は続巻となります。 良く聞く言説として、革命フランス軍やナポレオンの大陸軍が、旧体制のフランス王国軍では採用できない戦術を駆使して勝利を得たとされる見解があります。しかし本書は、そのような考えが誤りであり、二つの軍隊の間にあるとされた峻険な断絶が存在しないことを明確にします。クインビーはむしろ、ナポレオンに敗北したプロイセン軍や、第一次世界大戦に敗北したドイツ軍が成し遂げた軍事理論的な再建が、この18世紀のフランス軍内においても起きていたと主張するのです。 本書では様々な試行錯誤の構想が紹介されています。これらは当時の軍隊がどのように動かされ、どのような問題があったのかを明確にしつつ、一直線に答えにたどり着けない軍事における教訓のフィードバックの難しさを示すものです。また、構想を取り入れる中での妥協にも注目するべきでしょう。この妥協の先に、ナポレオンの軍隊の基礎となる教範の理論があるからです。本書を読むことで、一般にナポレオンの軍隊の特徴とされる縦隊戦術や混合隊形、散兵といった要素がどのように形成されてきたのかを理解することができると思います。 また、これらを紹介する中で詳述される、当時の密集隊形を組んでいた戦列歩兵の動かし方は、この戦争の解像度を大幅に向上させる内容となっています。これらの知識は創作にも大いに役立つと思います。是非、この時代の戦争や、密集隊形を用いた戦争に関する創作に興味がある方にも一読して貰えればと思います。 試し読みは以下にて実施中。 https://x.gd/sfUNE