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小川くんが泡をふいて倒れた。横向きにうずくまった彼の体はもともと小さいのにさらに小さく、色白の顔はさらに白くなっている─── 初めての事態や周囲のさまざまな反応に困惑する優花は小川くんの家にお見舞いに行くことになり……。 「『アンソロジスト』から生まれた文章講座」にて執筆した“〝短編小説〟です。 田畑書店の「ポケットアンソロジー」という商品に挟めるサイズになっています。 〈読者さまからの感想〉 「丁寧な純文学。もっと壁さんの小説を読みたくなった」 「異質だと判断したものに対する恐怖、攻撃。しかし、それが異質ではなく自分自身もまた同じなのかもしれないと気付いた時、恐怖は柔らかな肯定になるのだろう」 「壁さんの書く言葉は読み手の感情に作用するからすごいなと思った。短いお話なのに、すごく長く感じた」 「子どもが主人公の話で、剥き出しの感情やことばが飛び交っている。でも、親との会話に持つ違和感だけがぼんやりしていて、ああ、こんな感じだったなと。親だけは自分の味方だと信じていた時代のことを思い出した」 〈冒頭〉 小川くんが泡をふいて倒れた。横向きにうずくまった彼の体はもともと小さいのにさらに小さく、色白の顔はさらに白くなっている。口は半開き、端から半透明のプクプクしたものが出てはパチンと消え、出てはパチンと消えていく、ズレた瓶底眼鏡の隙間から見える目は普通の目ではなく、黒目が上に移動し半分が隠れている。一年のころに流行った、白目にする遊びをしているような目だ。 ピアノの演奏が止まり、皆の歌声ではない声が聞こえる。「わっ」「先生!」 「やばい!」「は? え?」小川くんは周囲から遠巻きにされ、ひな壇の上で綺麗に並んでいた列には穴ができていた。
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