Oh!8ビットパソコン
- Digital500 JPY





本書は、1980年代初頭、日本のパソコン黎明期を駆け抜けた「パソコン少年」たちの熱狂と青春を、技術的な視点とともに描いた渾身の技術エッセイです。 1980年、中学一年生だった著者が「初歩のラジオ」でBASIC言語と出会った衝撃から物語は始まります。高嶺の花だったPC-8001やMZ-80Kへの憧れ、電器店の店頭でひたすらプログラムを打ち込んだ日々、そして雑誌『I/O』や『マイコンBASICマガジン』を情報の頼りに、カセットテープの「ピーーガーー」というロード音に一喜一憂したあの時代。インターネットもなかった頃、少年たちはどのようにしてコンピュータという未知の箱に魅了され、エンジニアへの道を歩み始めたのか。その原風景が鮮烈に描かれています。 本書の核となるのは、著者の愛機である富士通「FM-7」です。「青少年は興奮する」のキャッチコピーで登場したこのマシンを通じて、当時のハードウェアとソフトウェアの深淵に迫ります。 テキストVRAMを持たずグラフィックと混在していた画面構成、キー入力の制約を回避するために生まれた「Breakキーでミサイル発射」という独特の操作法、サブCPUを制御するための隠しコマンド「?YAMAUCHI」の秘密、そしてフロッピーディスクのコントローラ(FDC)の仕様差を利用した伝説のコピーガード「時分秒プロテクト」まで――。単なるノスタルジーに留まらず、当時の制約の中でいかに技術的な限界を突破しようとしたか、その創意工夫の歴史をエンジニア視点で詳細に紐解きます。 FM-7以外にも、PC-8001、MZ-80K、X1、PASOPIA、PC-8801といった「御三家」を中心とする名機たちや、「ぴゅう太」「JR-100」などの個性派マシンも登場。それぞれの設計思想の違いや、当時のパソコン文化を象徴する「西武労働レストラン(SAVE/LOAD/LIST/RUN)」といった隠語のエピソードも満載です。 表紙デザインは、当時のパソコン雑誌『I/O』の「情報詰め込み型」デザインをオマージュ。あの頃の熱気をそのままパッケージしました。 当時を知る「元・パソコン少年」たちには懐かしさと共感を。現代のエンジニアや若い世代には、テクノロジーの進化の過程と、不便さの中にあった「プログラミングの原初的な楽しさ」を伝えます。技術書典19にて頒布。この一冊で、8ビットの青春時代へタイムスリップしてみませんか。




