運命の歯車
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オリジナルの現代恋愛小説です。 A6サイズ、142ページ。
サンプル私は、今とても悩んでいる。理由は簡単。 明日の推しの舞台に何を着ていくかを悩んでいるからだ。 椎葉由宇、二十九歳、彼氏なし。仕事はごく一般的な事務職。 身長も体重も標準で、突出した特徴なし。 強いて言うなら、推しに寄せた暗めの赤紫色の髪色くらいだろうか。 推しとは、中本奏多という若手俳優で、俗に言う2.5次元俳優だ。 可愛らしい顔立ちなのに格好いい役がとてもよく似合い、かと思いきや物静かな役も演じられる。 2.5次元以外の舞台にも多数出演し始めている売り出し中の舞台俳優なので、出演作品が多く追いかけるのが大変である。 …金銭的なことと、席の抽選倍率との問題もあるので、全ての舞台を観劇出来る訳ではないけれど。 明日の舞台は、奏多くんを知る事になった2.5次元ミュージカル…ゲームが原作の『四季折々』…通称『四季おり』だ。 四季折々は季節ごとの日本語特有の表現を擬人化したよくあるシュミレーションゲーム。奏多くんは、その中の『荘月』を演じている。荘月とは、旧暦8月の異名で『盛んな』『活力に満ちた』という意味があるそうだ。 荘月はその名の通り、やんちゃでイタズラ好きのなキャラクターで、人気も高い。 元々ゲームをしていた、とかではないのだけれど、『四季折々』を好きな友人に『絶対好きだから観て!』とDVD上演会を開かれたのを切欠に、舞台もゲームもハマってしまった。 いや、最初は別のキャラクター……『時雨』にハマったのだけれど、舞台に『荘月』が出るやいなや、『荘月』と『中本奏多』という俳優にハマってしまった。 それも、夢にまで出る程に。 荘月のイメーシカラーは碧。解りやすく言うとブルーグリーン…『あおみどり色』だ。 そこに差し色で白が入っている。今の季節は初夏。 碧を着るのには丁度いい季節だろう。 「うーん…このブラウスに白のスカート……でいいかなぁ?」 碧色の半袖のブラウスに白のチュールのロングスカートを合わせてみる。 明日は気温が高くなるそうだし、劇場の中は暑いくらいだろうから、上には緑のカーディガンを羽織るつもりだ。 足元はヒールが低めの白いパンプスの予定。 服は、これでいいだろう。あとは…… 「書きかけのファンレター、書きあげないと。」 そう独り言を呟き、机に向かう。 昔から観劇は好きだし、音楽も好きでライブなんかにも沢山行ったが、ファンレターを書くのは初めてだ。 ずっと、奏多くんにも書くつもりはなかった。 今は東京に住んでいるので舞台が必ず上演されるからだ。 だけど、家庭の事情で地方の実家に戻らなくてはならなくなり、少なくとも大都市でしか上演されない『四季折々』の舞台は観れなくなるだろう。明日が最後の観劇、という訳だ。
私は、今とても悩んでいる。理由は簡単。 明日の推しの舞台に何を着ていくかを悩んでいるからだ。 椎葉由宇、二十九歳、彼氏なし。仕事はごく一般的な事務職。 身長も体重も標準で、突出した特徴なし。 強いて言うなら、推しに寄せた暗めの赤紫色の髪色くらいだろうか。 推しとは、中本奏多という若手俳優で、俗に言う2.5次元俳優だ。 可愛らしい顔立ちなのに格好いい役がとてもよく似合い、かと思いきや物静かな役も演じられる。 2.5次元以外の舞台にも多数出演し始めている売り出し中の舞台俳優なので、出演作品が多く追いかけるのが大変である。 …金銭的なことと、席の抽選倍率との問題もあるので、全ての舞台を観劇出来る訳ではないけれど。 明日の舞台は、奏多くんを知る事になった2.5次元ミュージカル…ゲームが原作の『四季折々』…通称『四季おり』だ。 四季折々は季節ごとの日本語特有の表現を擬人化したよくあるシュミレーションゲーム。奏多くんは、その中の『荘月』を演じている。荘月とは、旧暦8月の異名で『盛んな』『活力に満ちた』という意味があるそうだ。 荘月はその名の通り、やんちゃでイタズラ好きのなキャラクターで、人気も高い。 元々ゲームをしていた、とかではないのだけれど、『四季折々』を好きな友人に『絶対好きだから観て!』とDVD上演会を開かれたのを切欠に、舞台もゲームもハマってしまった。 いや、最初は別のキャラクター……『時雨』にハマったのだけれど、舞台に『荘月』が出るやいなや、『荘月』と『中本奏多』という俳優にハマってしまった。 それも、夢にまで出る程に。 荘月のイメーシカラーは碧。解りやすく言うとブルーグリーン…『あおみどり色』だ。 そこに差し色で白が入っている。今の季節は初夏。 碧を着るのには丁度いい季節だろう。 「うーん…このブラウスに白のスカート……でいいかなぁ?」 碧色の半袖のブラウスに白のチュールのロングスカートを合わせてみる。 明日は気温が高くなるそうだし、劇場の中は暑いくらいだろうから、上には緑のカーディガンを羽織るつもりだ。 足元はヒールが低めの白いパンプスの予定。 服は、これでいいだろう。あとは…… 「書きかけのファンレター、書きあげないと。」 そう独り言を呟き、机に向かう。 昔から観劇は好きだし、音楽も好きでライブなんかにも沢山行ったが、ファンレターを書くのは初めてだ。 ずっと、奏多くんにも書くつもりはなかった。 今は東京に住んでいるので舞台が必ず上演されるからだ。 だけど、家庭の事情で地方の実家に戻らなくてはならなくなり、少なくとも大都市でしか上演されない『四季折々』の舞台は観れなくなるだろう。明日が最後の観劇、という訳だ。
