短編小説集『Q』
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『Q 自分が何なら愛せるか、どうして皆はわかるんだろう?』 A6サイズ/64ページ 人魚を囲う女、花瓶と共寝する男、2次元の存在にしか惹かれない人…… ”普通の恋愛”ができない人たちを描いた、短編小説集です。 タイトルの『Q』にはQuestion(問い)、Queer(クィア)など、いくつかの意味を込めています。 もくじ 夢に囚われた女 人魚を囲う 二次元と花瓶 指先で紡ぐ幸福 ……お察しのとおり、このZINEに収録されたいずれの短編にも、私の一部が反映されているし、含まれている。人は元来、多面的なものだが、それを体現するZINEになっていたら嬉しい。(あとがきより) ▷オススメ:他人から理解されないことに苦しんでいる、自分の愛の対象に悩んでいる、「普通の恋愛」なんて知らねー!と思っている ▶オススメしない:エモい百合や同性愛を読みたい
『夢に囚われた女』
戸塚葉結は霊能者だ。この説明が適切だとは思わないが、そのようなものとして通っている。今回の密会も、それが理由だった。女は夜毎おかしな夢を見るという。たとえばそれは、他人に告げるのはとても憚られるような内容で――語りにくそうに、ぽつぽつと漏らした言葉を繋げてみるに――、昨夜など彼女は霧に姿を変えてどこを行くともわからない船の甲板に降り立つと、船乗りたちからその身一つで、精という精を搾り取ったという。淫夢と言えばいいのか、とにかくそれに苛まれている、という話だった。
『人魚を囲う』
魚を入れるために水槽に注水したとき、不思議な心地がした。水を入れるまでは、水槽はただの容れ物としてそこに在って、それで十分で、だのに水を入れはじめた途端、まるで中に水が入っていなければ存在理由がなかったかのように一変する気がした。おかしな話ではないか。海や湖や川を切り取るために水槽があるわけではない。ないのだけど、人はなまじそれらがあることを知っているから、こんな感傷を覚えるのだろうか。
『二次元と花瓶』
20代、そんなオタク仲間の子たちが、一人また一人と結婚しはじめた。とんでもない衝撃だった。え? だってあんた、先月もジャンプショップで〇〇くんのバースデーグッズ出るから買わなきゃ、とか言ってなかった? 来月に、一緒にコラボカフェ行く約束してるよね? 言葉にできなかったけど、あれだけ好きだ好きだと言っていたキャラクターや作品への裏切りだと感じて、そんな自分にショックを受けた。もしかして、もしかしてだけど、キャラクターを三次元の人間と同じか、それ以上に好きなあたしって、これってあたしがおかしいのか? って。
