おにぎり宮の美味しい関係3
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▪️発行 2026年07年05日 星に願いを2026 day2 HQ夢オンリー 繋ぐ夢と想い星願2026 ▪️サイズ▪️ A6 文庫版 102P ▪️通頒価格▪️ 950円(boothシステム手数料と厚紙封筒代など梱包費用が含まれております。) ▪️装丁▪️ 表紙 和紙系(PP加工なし) 金糸入り遊び紙 デザイン遊び紙 →強度のためPPいれるかギリギリまで悩みましたが、和紙の手触りを優先しました。 飲食店でのご飯の待ち時間などに読んでお腹を空かせて欲しいため、お持ち歩きの方は素敵なカバーをご用意ください ▪️収録文字数など▪️ 約三万文字 ほぼ書き下ろしの詰め合わせです。 ■収録内容 【春はあくぬき】 pixiv掲載を書籍スタイルに再編集+加筆 おにぎり宮に春がきた、な山菜メインのお話。 【西京焼きとおにぎり】 昼下がり。 ランチの片づけも、夜の営業の仕込みも一段落した飲食店にとってはほっと一息つく時間。 おしぼりや、酒屋の納品を運ぶのに、外と中を往復する治に帰宅途中の小学生たちが元気に声を掛ける。 「ただいまー!」 「おかえり。まだ家ちゃうやろ、気ぃつけてな」 でっかくて優しい兄ちゃんは小学生にも大人気だ。 春は新一年生の季節。 ピヨピヨのヒヨコみたいな帽子を被った、ピカピカのランドセル。 それに真新しくてでっかく目立つ、傷一つない黄色い交通安全のカバーを被せて。 まるでよろよろランドセルが歩いているみたいな新一年生が、勇気を出して挨拶できた! みたいな顔をして、治の横を「さよならっ!」と声をあげてピィピィ通りすぎていく。 「車に気ぃ付けてなー」 ランドセルのあのカバー。新入りの証みたいで妙に恥ずかしくてダサいと思って大嫌いで、侑とランドセルをぶつけあっては速攻で破いて取ったはいいが、母親にあんたらは目立つように付けときなさいと、怒られ新調されて、その上から更に固いビニールのカバーもかけられたなと治は己の六歳の記憶を掘り起こす。 そんな、小学生の群れから外れて一人。しょんぼりべそべそ黄色い帽子。 よたよたでぐずぐずの涙が零れおちる寸前の子がいるのだから大事件だ。 治が新一年生を保護するお話。 北さんも出てきます。 【くじらの餅の謎を追え】 道明寺と、長命寺。 どちらかひとつだけならば、鐘が鳴るなりと言ってみたくもなる単語だが、二つ揃って並べると途端に春の季語となる。 「あら、桜餅」 「はい、出張先で有名な和菓子屋さんがあったので」 出張帰りはお土産片手に、おにぎり宮へ。 これは、おにぎり宮の常連の定番である。全国各地、津々浦々の美味いものを治に食わせたい人間しかいないので。 美味いもの好きの集まりだ、どうせなら独り占めして食べるよりも色んな人と美味いも堪らんも共有したい、そんな人々の集まりだ。自分が買ってきたお土産が好評だと鼻高々、また食べたいねと言わせれば勝ち。 美味いものの御礼は、美味いもので。 誰かが旅先で見つけた味が店に持ち込まれ、それを囲んでまた別の土地の話になる。 そんなふうに、おにぎり宮では幸せがリレーのように繋がっていくのだった。 「これ桜餅なん……?」 関西生まれは首傾げ。それもそのはず、京都・大阪・兵庫あたりでは、桜餅と言えば桜色のもち米潰して、つぶ餡入れて、葉っぱを巻いた道明寺。クレープのような皮を焼いて、漉し餡をくるりと巻いて葉に包んだ長命寺に馴染みはない。 むしろ、はじめて見ました初対面。見知らぬ未知の食べ物だ。 寺々しているネーミングも、長命寺は発祥地の地名が由来なのに比べて、道明寺は道明寺粉を使用するからというのが由来で、同じ桜餅なのに似ているようで似ていない。まるで他人の空似のようなちょっと面白い存在なのだ。 地域制のある郷土菓子のお話です。 【春の乱】 春は出会いと別れの季節。 彼女が、店に来なくなった。 おにぎり宮の常連の一人。美味しいものが大好きで、店内にいるだけで照明がパッと明るくなったと感じるような、あの彼女が。 新生活か。引っ越しか。それとも、まさか転勤か。 さて、どれだと思ったが、そのどれでもないらしい。 治に聞いても、どうにも歯切れが悪い。 「喧嘩でもしたん?」 「してへん」 これだけは即答。 だから、余計に不穏。 なんだか妙に暗い店内。 電球切れてへん? 変えたばっかり? ほな、気のせいか。 暖かくなったというのに、なんだか肌寒い気さえする。 ガラリと誰かが暖簾をくぐってくるたび、治も常連もパッと入口を見て、がっくり。 その勢いに、新規のお客さんはびっくり。 春の出会いと別れのお話。 【花見弁当】 きっかけは、常連のおっちゃんと治の雑談ひとつ。 「治は花見弁当やらんの?」 「いやぁ、流石に。注文が入れば花見用の仕出しぐらいはやりますけど」 「まぁ、大変やもんなぁ」 絶対やらんと首を振る治に、首を傾げるのは彼女だけ。 「お花見用と仕出し弁当となんか違うんですか?」 ぎょっとしたのは店内だ。まるで、なんでやらないの? ぐらいのテンションで彼女が軽く言ったので。 花見弁当だぞ、とざわり。 「どんなの想像しとる?」 「えっと、普通の……」 彼女は春のピクニックや、遠足を思い浮かべて、海苔を巻いたおにぎり二つぐらいに、玉子焼き。 タコさんウィンナーに、唐揚げとか? と答えた。普通の回答のつもりだった。 「あかんっっっ!」 「そんなん持ってこん方がマシや!」 「恥かくで」 「小学生の遠足か」 花見弁当やぞ、と一気に店内総スカン。 信じられないものを見る目で彼女を見ている。 「ふ、普通のお弁当じゃないの?!」 花見弁当のお話。 【絶望のスクランブル】 【スクスク作戦】 【決戦のスクランブル】 おにぎり宮の扉をガラリと開けるとそこは葬列。 妙に張り詰めた神妙な空気、彼女は思わず潜ったのれんを引き返そうと思った。 カウンターに並ぶ金とオレンジ、そこがこの空気の爆心地。 その隣しかカウンターが空いてないのが嫌だなと思いつつ、そろりと椅子を引いて座る。 おしぼりを持ってきた治に、隣を伺っていた目線を向けて視線でどうしたの? と問う。 治もこの世の終わりのような、顔をして長い溜息を吐き出した後に一言。 「渋谷に……出展せなあかんことになって」 渋谷。思いもよらぬ場所の名前が出たことに彼女は驚いた。 ぎゅっと金とオレンジを見つめる、きっと原因はここだろう。 詳しく話を聞かせてもらおう。 おにぎり宮が渋谷のスクランブルスクエアに出展。 えっ、そこってついこの間めちゃくちゃ大炎上した場所では?? どたばたにみんなで頑張るお話です。



