【彰冬♀】ONLY ONE
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彰冬♀(+BL) ■主軸は高校一年生の彰人と冬弥♀(先天性女体化)/別世界の大人彰冬(BL)も出てきます。 ■二人が出逢ったところからの話で、高一で出逢い高校も違います。歌いますけど設定違います。 ■途中出てくる違う世界の大人彰冬(別世界の二人で伝説超えして大人になった未来捏造)も少しいます。 高校生二人の話がメインなのでこちらを彰人・冬弥、大人の二人はアキト・トウヤと棲み分けしてます。 ■あくまでカプは同じ世界の彰冬達だけです。 ■冬弥に近づく名前ありモブ(架空の人物)も名無しも出て来ますが、彰と冬はお互い意外はその辺に転がっているただのモブです。 見本はPIXIVに載せてますので、そちらでご確認いただけたら幸いです。
【彰冬♀】ONLY ONE
※見本なので前後繋がってません。 ~~~前略~~~~ ―――♪――♪――! 彰人は学校帰りにしっかり着替え、Tシャツにパーカー、ダメージジーンズにキャップ。年齢より上に見られるせいかこの場にいても違和感はない。 声の届くギリギリの距離で、壁の前にある木箱に片足を垂らすようにして座って聞いている。 (すっげぇ上手いけど、…上手いから聞いてくれ…というより) 「聞いてくれって感じの割に――…」 思わず声に出した彼は音が途切れると立ち上がった。目指すは声の主だ。 年は同じぐらいに見えるから多分男子高校生だと考えているが、制服姿を見たことがないから実年齢は解らない。 年齢は関係ないと言いたいが、一緒にやっていくなら歳が近い方がやりやすい。 目当ての人物の前に来ると、彰人は人好きのする笑顔を浮かべた。 「なぁ、今度オレと歌ってみねえ?」 「――………、……」 直前まで一人で声を張っていた人物は、ちらりと一度だけ視線を向けるがすぐに片付けを始めた。 答える気はないらしい。 「無視することないだろ」 「ナンパというものはお断りしている」 「は、ナンパ……?」 「――…違うのか?」 ナンパと間違われ彰人は困惑する。 偏見はないがそういった場所ならともかく、こんな目立つ場所で同性をナンパとかどんだけ勇気がいることか。 (いや、違う。こいつ男じゃない?) よく見ると今更ながら確かに異性であると気づいた。 目の前の人物は身長が高く声は低め。いつも遠目が多かったせいもあり勘違いしていたようで、間近でしっかり見ると確かに男ではなかった。 それに――…気づかなかったのが不思議なぐらい整った顔をしている。 「……………」 沈黙した彰人を目の前の人物は無表情のまま見つめていた。 少しして彰人は無意識に口を開いた。 「……あんた、男じゃなかったんだな」 「男だと言った覚えはないが」 「まぁ確かに?」 言った覚えも何も、話すのは今が初めてだ。 「ナンパっつーか、女だと思って声掛けたわけじゃねえんだけど」 彰人が声をかけたのは言葉そのままの意味、一緒に歌わないかと誘いたかっただけ。 それが何故ナンパ話になったのか。 「………?……」 彰人の言っていることに思考を巡らせた、先程まで歌っていた彼女――…青柳冬弥は何かに気づいたように頭を傾げた。 女性だと思ってなかった。けれど声をかけた。つまり? 「…っ、…あぁ…そういう趣味だったのか?」 「なんでだよ!」 彼女の言葉につい突っ込みを入れた彰人は溜息を吐き出した。話が全く通じない。 「…っ、ケホッ……」 突っ込んだ直後、最近ずっと続いている喉の不調で不快な感触に軽く咽せた。暫くしたら治るので何度か深呼吸を繰り返してやり過ごす。 ~~~略~~~~ 「逃げる君が悪いんだ。大人しくしたら離してあげるよ」 「そんなわけっ――…」 離してくれるとは到底思えなかった。 握られた手首の痛みもあるが、自分を見るその目が恐ろしい。 田上より、名前も知らない彼の方がよっぽど紳士的だと、冬弥はいつも助けてくれたオレンジ色を思い浮かべた。 「出逢った時はお人形さんのようだったのに。誰が君をこんな風にしてしまったのかな。――…ああ、ストリート音楽というものが悪いのか」 「っ、……!!」 許せなかった。自分も最初はただの逃げ場に使っていたストリート音楽だが、今はそれだけじゃなく楽しいと感じている。 その感情を教えてくれた彼とは最近会えていないが、ストリート音楽を馬鹿にされるのは我慢ならない。 「お父上は反抗的になってしまった娘さんを心配している。私にお願いしてしまうぐらいにね」 近い内に婚約発表しようねと。更に解らないことを口にして田上は不気味に笑う。 まさか自分の知らないところで勝手にそんな話が進んでいるのかと背筋に冷たい汗が伝う。 「さて、きみはどうやら大人しくするより少し刺激的なのをお好みみたいだね」 ふむと一人頷いた田上は、掴んだ手首をそのままに、顔をずいっと近づけた。 ふわりと鼻孔をくすぐるオーデトワレの匂いに冬弥は顔を背ける。 ――…気持ち悪かった。 「前は断られてしまったけれど、今日――…っ……?…」 「――…、…っ…?…」 それは突然のことだった。 二人は目を焼くような光を頭上から浴びて動きを止める。 閉じていても瞼の向こうから届く光量は尋常じゃない。 掴まれたままの手首の痛さも、目の前に居るはずの苦手な男のことも忘れ、冬弥はじっと終わりを待った。 ――…それ犯罪だろ。 「なっ!」 「……、っ…」 いつの間に現れたのか、一人の男が田上の後方に立って居た。 その更に後ろはいつもの裏通りだが、他に気づいた人がいないのか騒ぎにもなっていないし誰も近寄って来ない。 冬弥が状況を把握しようと脳内で情報処理をしている間に、薄くなった光はスポットライトのように先から狭くなっていき――…やがて何もなかったように消失した。 信じられない光景だった。 この場にUFOが降りて来ても納得してしまいそうな怪奇現象で、最初からその場に居た二人は現れた男を見て止まったまま。 見た目だけで言うなら、自分達となんら変わらない人間に見える。だが本当にあの光から現れたのなら人間だと確信は持てない。 「な、なんだ君は」 「オレのことはいんだよ。嫌がってる相手を拘束するのは駄目だろ」 言いながら、近寄ったその男は田上の手首を掴んだ。 「くっ…!」 痛みに呻きながら手の力が緩んだおかげで冬弥は解放され、その瞬間を見逃さず助けてくれた人の背中へと走り込む。彼は動かずそのまま背を貸し、前を向いたまま口を開いた。 「君さ、年は?」 「え、あ、十六です」 咄嗟に応えた冬弥に、男は眉をピクリと動かして田上を睨んだ。 「マジで犯罪だろ」 「彼女は私の婚約者だ」 言い返す田上に男は背中に張り付くように隠れている冬弥にそれが事実かどうかを視線で問うたが、彼女は先程掴まれた手首を反対側の手で撫でながら、必死に頭を横に振っている。 「アンタさ、頭良さそうに見えるけどバカなのか?どう見ても嫌がってる未成年を掴まえてた時点で訴えられるレベルだっつの」 「お前のようなヤツに言われたくないな」 ふんと鼻を鳴らした田上は落ち着いてきたのか、そう言いながら目の前の男を頭の天辺から爪先まで視線を緩く這わせてバカにしたように笑った。 派手な髪色にいくつもついたピアス。指と首にもアクセサリーが彩り、黒いジャケットに黒の綿パン。足元は黒ブーツといった出で立ちで、スーツ姿の田上とは対照的。 自分が上流階級に位置すると信じて疑わない田上は目の前の男は取るに足らない相手と考えたのだろう。 「どーせこいつが親父さんには話せないと踏んでの行動だろうけどな、警察に駆け込んで訴えてやるぞ」 「――…え……」 驚いて声をあげたのは田上ではなく冬弥だった。何故父親のことを口にしたのか解らなかったからだ。 偶然か、それとも。 「二度とこいつに近寄んな」 「……今は引いてやろう」 ちらりと冬弥に視線を向けた田上が二人に背を向けて路地を出て行った。 やっと消えた恐怖に、冬弥は目の前の背中にコツンと額をぶつけた。手が震えていて、上手く呼吸が出来ない。 「……、……」 暫くして冬弥が我に返るまで男はそのまま背中を貸してくれていた。 それは時間にしたら五分にも満たない程度だったが、冬弥はやがて落ち着きを取り戻す。 「失礼しました。有り難うございます、助かりました」 自分がしていたことの大胆さに気づいた冬弥は、そっと背中から離れて前に回り込んで頭を下げた。 謝罪とお礼は基本で、欠かしてはいけないものだ。 「落ち着いたみてえだな。とりあえずそこまで出るか」 「はい」 二人は人気の無い場所から出ると、冬弥がいつも歌っている通りに出た。 やはり先程のことに気づいている人はいないのか、いつもと変わらない路地裏だった。 「どうすっかな」 一緒に居ると、やはり不釣り合いのせいか周りの視線が突き刺さる。 派手ななりの青年と育ちの良さそうな未成年だろう女性。下手すると彼が犯罪者扱いされかねないことに今更ながらに気づき、冬弥はどうしようと考える。 だが前を行く彼は周りの視線も状況も気にしていないのか、辺りを見回したりはするが、それだけだった。 「んー、カードもあるけど使えるわけねえよな」 言いながら、ちょうどそこにあった自販機にポケットに突っ込んだままだった交通系電子マネーをタッチする。 ピッと軽やかな音が鳴り、ドリンク下のボタンが購入可能を伝えるよう色が変化した。 「お、ラッキー」 まさかの使用可能に男は光るボタンを押した。すぐに落ちてきた商品を中から取り出すと、冬弥の前に差し出す。 「ほら、やるよ」 「え…っと……」 差し出されたのは、いつも冬弥が好んで飲むブラックコーヒーだ。 自分用には甘いカフェオレを購入した彼が、受け取っていいものか悩んでいる冬弥の手の中にそれを押し込んだ。 「目の前で買ったから怪しい飲み物じゃねえだろ?つってもオレ自身は充分怪しいと思うけどよ」 「そうですね、――…光りから現れたんですから……怪しいですね」 「あー、そう、だな」 男は笑って答えながら目の前にあるまあるい頭をポンポンと軽く叩いた。 普段からスキンシップは全く無い冬弥だったが何故か嫌な気にならず、そのまま受け入れる。 「アイツが居るかわかんねえし、まだ一人にならない方がいい。その間、情報提供してくれねえか」 「情報提供ですか?」 「おう。察しが付いてるかもしんねえけど、オレはこの世界の人間じゃねえ。ここの通りも見覚えあるけど全く同じじゃねえし。ちなみに今は西暦何年だ?」 「西暦××××年、○月です」 「あー、十年は違うな」 「っ、……未来から来たと言うことでしょうか」 「いや違う。っつーか、今居るここから考えたら年数的には未来だったとしても、この世界の未来からじゃねえのは間違いない」 ~~~略~~~~ 「――…どうやって探すかだな」 ここは神山高校という共学高で、お目当ての彼が通う高校がここだと知って足を運んだ。 あの時、彼らの帰り際にアキトと同じ学校だと教えてくれた白石杏に関しては後日にさせて貰おうと決め、とにかく彼と絶対話すという強い意志で今日は来ている。 校門前ということもあり他校生である自分は目立っているが、連絡先を知らない以上ここで待つしかない。 「冬弥?冬弥じゃないか!」 一際ざわめきが大きくなった直後、最近ご無沙汰していた知り合いが姿を現した。 遠くからでもよく通る声の持ち主は、幼い頃からお世話になっている人だった。 「司先輩?お久しぶりです」 「やはり冬弥だったな。うむ、久しぶりに会ったが元気そうでなによりだ」 「はい」 二人とも見られていることに慣れているせいか、注目の的だが全く気にしていない。 生徒達はこの学校の名物男の一人である天馬司の普段からの奇行を知っているため、また何かやらかすのかという思いと。 神高とは違い、男子高校生からしたら高嶺の花と言わしめる女子校の制服姿――…それもとびっきりの美人が親し気に話し始めたのだ。好奇心が抑えられずつい目がいってしまっても仕方が無いことだ。 「何かあったのか?」 「あの、はい……実は人を探していまして」 冬弥の反応に、司はふむと顎に指をあてて考える。 彼女は筋金入りの箱入り娘。しかも校門で待つということは、連絡先の交換をしていない可能性をすぐさま思い立った。 大人しい彼女がわざわざこんな場所まで出向いて来たのだ。きっと大事なことだと司は悟り。 「よし解った。理由は聞かん!だが手伝わせてくれ」 「……いいんですか?」 「当然だ!」 胸をドーンと叩いたあと、司は大きく息を吸い込んだ。 どれだけ大きくかというと、腹が膨れるのが制服の上からでも解る程だ。 「……スゥ――……るーいぃぃぃぃ――…!」 ぎゃあああ! うるっさ! 突然の大声。しかも常から大きい声の天馬司が。 目を丸くする冬弥と、巻き込まれて騒音に耳を塞ぐ生徒達。 そんな巻き込まれ組だけ地獄を見ている中、ブーンと機械音をたてて球体に猫耳をつけたドローンが二人に寄って来た。 『なんだい司くん』 「やはり近くに居たな」 『そうでもないよ。君の声が大きかったから気づいただけさ』 猫耳ドローンと普通に会話を始めた司の横で、冬弥は自分も彼?に挨拶するべきかと悩んでいると、司が視線を向けてきた。 「こっちはオレのショー仲間の神代類。類、こっちは昔から交流のある青柳冬弥だ」 『ああ君が。話は司くんから聞いたことあるよ。神代類です宜しくね』 「はい、宜しくお願いします」 さてと司がドローンの真ん前に行くと、簡単に経緯を説明し、それなら僕(ドローン)が探してくるよと話はすぐにまとまった。 「冬弥、特徴が解るなら教えてやってくれ」 「はい。髪は明るいオレンジで、ピアスをしてました」 『ふむ、髪はオレンジでピアスあり。他には?』 目の前の猫耳ドローンがパタパタと飛ぶのを目にしながら、冬弥は脳内に彼のことを思い浮かべる。 「そうですね……彼は見た目が派手なせいで誤解されやすいですが、本当は優しくて、顔は、少し垂れ目で、笑うと可愛いんです。スタイルも良くて、それから――…」 「冬弥スト―――ップ!!」 「え、……はい??」 『フ、フフ。止めなくていいじゃないか司くん』 永遠に続きそうな彼女の探し人に関しての特徴だが、最後は最早惚気じゃないかと疑うものだった。 ~~~~~~~ 見本は以上です。

