おおきく澄みわたる、あの宇宙へ――Mission3
- ¥ 0
ロケットを題材にしたノベル作品の第三話になります。 国際紛争のために宇宙開発の禁じられた近未来で、ヒロインたちが種子島でロケット作りに挑む物語です。 ■ストーリー 世界的な紛争のためにロケット開発が禁じられ、人類が宇宙を目指さなくなった近未来。 そんな中、海辺に繰り出しペンシルロケットを打ち上げようとする二人の男女の姿があった。 少女の名前は糸川美宇。 今亡きロケット技術者の母親の夢を叶えるために、ソラをめざし続ける少女。 少年の名前は糸川与一。 無謀な夢に向かって進み続ける美宇の弟である。 目指すは宇宙の境界50ノーティカルマイルすら超えた、 高度36000km(静止軌道)。 大気すらなく、どこまでも澄みわたる世界へ向かって二人は小さな一歩を踏み出す―― ……はずだったのだが。 ■第3話のストーリー 【ミッション――40日以内に観測ロケットを打ち上げろ!】 種子島。廃校を利用したAVSAの研究施設「学園」に連れてこられた姉弟。 そこで秘書の巴から切り出されたのは、夏休みの間に、「高度50kmの成層圏界面を越えられる観測ロケットを開発し、上層大気の観測を行う」というミッションだった。 突拍子もない提案に戸惑う姉弟だったが、それを鼻で笑うのはアメリカ人のメアリー・フォン・ブラウンだった。 メアリーは自分に任せればそんな事造作ないと豪語する。 些細な事でケンカをし始めた与一とメアリーは、観測ロケット打ち上げプロジェクトのリーダー、「プロジェクトマネージャー」の座を巡って美宇とメアリー、どちらがふさわしいかモデルロケットを用いた打ち上げ勝負をする事になってしまう。 かくして、現地の娘、奈留島茅をも巻き込んでのロケット作りが始まるのだった。