「旅をしているんだ」 　銀河鉄道が開通して数百年。そのホームにぽつりと立っていた少年は、虚ろな瞳でそう呟いた。 「パパとママを探しているの」 　そうか、と、私は答えて少年にこのペンダントを渡したのだ。宇宙を閉じ込めたような、このペンダントを。 「これはね、魔法のペンダントなんだ。君をきっと守ってくれるだろう。寂しがることはないさ。ここは、誰も……来ないから」 　銀河鉄道は数年前に廃線になった。宇宙での旅が楽しくて地球の人口が大幅に減ってしまったから、なんて、理由はたくさんあるけれど、一番の理由は、 「鉄道が事故を起こした。誰かが悪さをして、セキュリティシステムに入り込んだんだね。だから、今は鉄道は走っちゃいないし、旅をしている人もいない」 　ここにいるのは、行き場を失くした亡霊たち。 「……君も私も、この宙にいるもの全てが」 　終わらない旅。帰るところなどすでにない。行き場もない。行く当ても、目的も、何も無い。 「帰る故郷などないのだから」 ---------------------------------------------------- 縦2.5cm × 横2.5㎝ × 高さ1㎝ 革ひも（青）80㎝ 歯車と宇宙をイメージしたペンダントです。 革紐は調節可能です。短い場合、ご連絡いただければ調節し再発送いたします。 １点ものです。注文時期により、配送が１週間遅れることがあります。予めご了承ください。