COCシナリオ「G船上のアリア」
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クトゥルフ神話TRPG自作シナリオ集「耶話鳴え(http://www.yawanae.esy.es/)」にて無料公開しているシナリオをPDFデータにまとめた物です。
シナリオの概要
探索者が目を覚ますと、大きく傾いた旅客船の一室でした。ギリギリと鋼鉄が軋む音、ゴポゴポと海が泡立つ音が聞こえます。探索者を乗せた船は、途方もない怪物に絡まれて、ゆっくりと沈んで行きながら、海底に眠る古き神の御許へと向かっていました。探索者はこの船から脱出するために、あらゆる手段を講じなければなりません。
シナリオの背景
夢見小夜は全身全霊を傾けた夢を失い、絶望の淵に立たされていました。膨大な時間を捧げ、ようやく花開き、いざこれから実を結ばんとしていた彼女の才能は、無慈悲な交通事故によって、地に落ちてしまいました。モノクロームの鍵盤の上を、艶やかに飛び跳ねていた彼女の指は、まるでピアノを始めたばかりの頃のように、無彩色で干からびた音を鳴らすばかりでした。 暗闇の底へと沈んで行く夢見に、周囲はとても温かでした。彼女のことを心から哀れに思い、彼女の幸せを願う優しい人々の声は、しかし彼女には響きませんでした。彼女にとって、演奏に懸けた情熱はこの上なく尊く、水泡に帰してしまった未来はかけがえのない物で、それらを突然に奪われてしまった彼女は、自分は死んだ方がマシとさえ思っていました。 そんな彼女を見透かすように、彼女の欲する言葉を掛けたのは、とあるカルト教団でした。「耶話鳴く夜の教団」と称するそのカルトは、彼女の前で様々な奇跡を起こして見せました。不治の病を癒し、自然災害を予言する。彼女がカルトの虜になるまでに、時間はかかりませんでした。彼女は、自身の「指」を取り戻すために、カルトがこれから実行するという悪魔的儀式に、参加することとなります。 カルトが計画していた儀式は、旅客船を一隻まるごと、大いなる古き神への生贄に捧げるという、とても大規模で醜悪なものでした。ただただ自分のためだけに、その儀式に参加した夢見は、その儀式の決行の直前に、これから生贄に捧げられる船の上で、何も知らずに乗り込んで来てしまった、知人である探索者達と出会います。 夢見の心は乱れました。そして、周囲が見えなくなった自分が、取り返しのつかない悪事に手を染めようとしていることを、改めて、強烈に自覚しました。探索者を巻き込んではいけない、そう思った彼女は、探索者を救出すべく、探索者達を自分の部屋に誘い出しました。そして、探索者達に睡眠薬を飲ませ、この凶行から逃がそうとしますが…。
シナリオの情報
作者:ホリ 推奨人数:2-4人 想定時間:3時間