キャンバスの上の君は歌う
- ¥ 500
「私の彼氏になってほしい」 告白か?いや、違う。これは契約だ。 ―高校三年生にして作家を志す鏑木美咲の生きがいはたまごサンドを食べることと小説を考えることだけだった。学校のマドンナ的存在の彼女は常に男子に言い寄られ、構想を練る時間がないと辟易していたところに、白羽の矢が立ったのは彼女と同じ文芸部に所属する須藤要だった。 「彼氏のふりをして」 なかば強制的に交わされた約束から生まれたうわべだけの恋人。恋心はゼロから生まれるものか、ワタシの世界に嘘偽りはないか。 「表現」を愛する者たちは、きょうも自分の世界を生きる。 表紙イラスト:SNOW WHITE
『このライトノベルがすごい!』髙橋 剛さまより
文芸部の新副部長になった須藤要は、新部長である鏑木美咲から彼氏役を務めるよう要請された。創作活動に専念したい彼女は要を虫除け代わりにしつつ、この関係性を今執筆している小説の参考にしたいらしいが……文芸を軸に巡る恋人ごっこの行方はいかに? なにより注目していただきたいのは主人公の要君。彼は「仕上がってる」んですよ! 文芸部員だけど読み専寄りな彼は、書き手の美咲さんに校正者的で編集者的な客観性を求められていきます。その中で考えるんです。美咲さんっていう女の子のことをなによりも真剣に。そして悩んで迷ってとまどって、それでも彼女を理解しようとがんばるわけです。 ヒロインが立っている作品は数あれど、ここ まで主人公を際立たせた作品はそうありません。しかもそれによって間接的に――それでいてこれほど鮮やかにヒロイン像を浮き彫れている作品は。 キャラの立てかたに一見ある方、まずはご一読ください! (文=髙橋 剛) https://kakuyomu.jp/features/1177354054889802336