本書は、主にRubyやPHPでアプリケーションを開発しているWebエンジニアに向けて書かれたものです。低レイヤーな技術に触れた経験が少ないWebエンジニアにとって、本書がC言語やコンピュータの仕組みを学ぶ一助になれば幸いです。 [なぜC言語を学ぶのか] 新しくWebアプリケーションを開発するときに、C言語を使って開発するという判断に至ることはまずないでしょう。Webアプリケーションでなくとも、AI関連分野でよく使われる言語はPythonですし、ゲームのように3DCGを扱う場合はUnity(C#)を使うことが多くなっています。C言語を積極的に検討するケースは、OSやデバイスドライバ、組み込みシステムの開発くらいだと思います。 それでも、WebエンジニアがC言語を学ぶ理由はあります。RubyやPHPのインタプリタはC言語で実装されたものが主に使用されており、RubyやPHPで書かれたコードが内部でどのように処理されているのか、どのくらいハードウェアに負荷をかけているのか、どう書き直せば処理を最適化できるか、といったことの見当がつくようになります。また、C言語の標準ライブラリにはRubyやPHPでは標準で使える型やアルゴリズムが含まれておらず、基本的なアルゴリズムも自分で実装しなければならないため、計算量やメモリ使用量を意識してコードを書く癖がつきます。C言語を学ぶことで、間接的に品質向上やコスト削減に繋げることができるのです。