野明が寝ているあたり、掛布団が不自然に小さく膨らんでいる。そしてそれは、小さく上下しているのだ。
「……………」
あやしい、あやし過ぎる。
姿が見えない野明も心配ではあるが、これもまた気になる事柄である。
窓は空いていないし、もちろん玄関のドアはしっかりと鍵をかけている。
ならば、何者かが侵入しているとは思えない。
しかもこれだけの小ささでは、人間ではない。
なにか、小さな生き物……
考えていても仕方がない。
遊馬はそっと掛布団をつかみ、そっと持ち上げた。
果たしてそこには…
2019年12月発行
A6
20P
小説
コピー誌
表紙:翠彩(ロコ)さん