『かたわれ』 時は某年六月。 某県にある県立高校は少し早い修学旅行を目前に控えていたが、 大規模な自然災害により、行き先のホテルを含む地域自体がそれどころ ではなく学校側も予定を変えざるを得なかった。 かといって急に一学年全てを受け入れる事のできる宿泊施設を擁する 目的地はそう簡単には目星がつけられず、学校側はクラス単位での旅行に せざるを得なかった。 行き先の候補のほとんどは単なる観光のようなもので、 本来の社会見学を含む学習旅行の体はほぼ失うものの、いまさら中止には できないと苦肉の策だったのだろう。 PLらのクラスもご多分にもれず本来の目的地が変わり、 いっときの混乱はあったものの、ある意味少人数、クラス単位での 小旅行の風情は、まだ学年がかわりそれほど時間がたっていないこの時期、 クラスメートの親睦を深めるきっかけにもなるかもしれないし、 早々に出来たクラス内のグループも友人との旅行気分。 意外と皆の反応は悪くは無かった。 唯一の欠点といえば、担任のくじ運の悪さが発揮され、候補地の中でも とびきりの田舎で、とびきり何もなさそうな場所に当たった事だろうか。 行き先は津之山村。有り体に言えば、ド田舎である。 最寄りの駅まで電車を乗り継ぎ、視界に入る物体の大半が自然物しか ないようなローカル線の中で、駅弁を貪りながらしばらくすると 木造の駅に着く。 そこから、さらに中型の古びた観光バスに乗り換えて宿泊地に向けて 移動を始めた。 最初こそアスファルトの上をなめらかに走るバスも、途中から舗装されて いない狭い上り坂を軽い揺れと共に走るようになる。 窓から目に入るのは緩やかな山の斜面に生える木々と、閑散と点在する 瓦葺きの古い民家だけで、普段なら気にもとめない電柱や鉄塔が、 むしろ違和感を感じさせている。 代わり映えしない外界に早々に飽きたあなたたちが雑談と睡眠に 興じているうちに、バスは目的地に到着するのだった。 〇PL:3~5人 〇所要時間:12時間以上 〇舞台:村クローズド 〇マップ画像有 〇総テキスト量80P(シナリオ部分54P) 〇NPC、イベント画像、フレーバーテキスト、設定資料は 後細別途拡張パックをご用意いたします。