無配いちつるビンゴ※説明文に書いてます(全年齢バージョン)
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全部上げると長いので一部だけ掲載します。 pixivには全文公開しておりますのでそちらもぜひ~ おあずけ×宴×子供じみた約束×そわそわ 大阪城にいる。と言えば分かってもらえるだろうか。 一体どういう構造になっているかは知らないが、大阪城の地下には小判が眠っているという。それだけでなく、粟田口一派、一期の弟達もどういう訳か地下に捕らわれていることが多い。 そういう時期の粟田口、と言えば分かってもらえるだろうか。己の同胞を迎えるためなら手段は選ばず、疲労もいとわず、地下へとまっしぐらである。 俺の本丸の一期一振ももれなくそうだった。 とはいえ最近は練度も上限へと達し、他の刀の練度上げを優先するためと、一期は俺と見送りをすることが多かった。だから、こうもすれ違うのは久々だ。極めた彼が再度手にした『練度上げ』の大義名分を使わぬはずがない。よって四六時中大阪城ダイビングとしゃれこんでいる。たまに陸(本丸)に挙がって来るが、あいにくその時は俺がダイビングだ。あいつばかり練度が上がっても面白くないし、大歓迎だ。すれ違っているとはいえたかだか一月もない期間のことであるし、己の在った年数を思えばそれこそ瞬き程度のもの。だから、あいつは思いっきり大阪城を掘り進めればいいと、俺は本気で思っている、のだが。 顕現したての頃の俺は、そういう訳でもなかったらしい。だからこそのこの現状だ。周りから訳知り顔の生温かい視線を向けられる度、羞恥で転げまわりたくなる。 一言断っておくが、顕現したての頃だって俺は本気で今と同じように思っていた。脇目もふらず弟のためにと頑張る一期を、ものすごく張り切っているなくらいにしか思っていなかった。しかし推測するにだ。 出会って恋仲となって数百年、平野も鶯丸もいたが、あいつの弟優先を目の当たりにしたのはそれが初めてだった。だからもしかしたら、ちょっとくらいは不満に思っていたかもしれん。 『弟、弟と。きみは俺をほっぽりすぎじゃないかい』 全く記憶にないが、全階踏破は難しかったものの、新しく仲間を迎えた宴で、俺は一期の元に乗り込んでいったらしい。そんな馬鹿なと次の日その場にいたやつに話を聞いたところ、その通りだと言う。信じられんと聞いてまわる内、とうとうその場にいた全員から同様の証言を得てしまった。 一期からも何度も詳細を聞かされているため、覚えていないと言えどもはや体験しているような状態である。 今日で大阪城はしまいだ。今出ている一期達の隊が戻ればいつも通り宴会が開かれるだろう。連日の出陣で疲れているし、今日の酒はそこそこにしなければならんな。これすら勘繰るやつもいるが、単に年長者として、次の日に響くような飲み方をするのはよくないからだ。そうだろう。 宴では新しく来た粟田口の子も含め、弟達に囲まれ一期は楽しそうだった。周りはあるものは心配そうに見てくる。これはまだいい。あるものはやっとだなと善意で声をかけてくる。羞恥で胃が吐き出せそうだ。最近来た貞坊はぷんすかしていた。これが一番落ち着く。 「あいつ鶴さんのことほったらかしにして。めちゃくちゃ腹立つ」 「貞。祝いの席だ」 大倶利伽羅がそれを嗜める。 「俺も久々にきみたちと一月出陣できて楽しかったぜ?俺もあいつをほったらかしにしている。お互い様さ」 「それを言われたらさあ……何も言えねえじゃん」 いい子だと頭を撫でようとすると、ガキ扱いすんなって!とよけられた。 一期の方をたまに眺めたりするものの、俺は俺で宴を楽しむ。 下手に気にしすぎれば何を言われるか分からんのもあるが(特に三条とか)(三条とか)、貞坊の言う通りほっぽられていても、本当に気にならないのだ。ただ楽しそうだなあ、仲が良いなあと思うだけ。 ふと時計を見ればあと半刻程で日が変わる頃になっていた。 あと半刻で明日になる。 今日はもう寝るかと自室へ引き上げた。いつもよりは遅くまで起きていたし、軽く酒も入っているし瞼が重たい。布団の中でうとうととしていると、布団に潜り込んでくるやつがいた。 「誰だ」 と言ってもほとんど相手は分かっていたのだけど。 「日が変わりそうでしたので」 案の定それは一期一振だった。 「もうか」 「もうすぐ」 「今は眠い……」 「私もです。ですから、朝が来たらですね」 「明日な」 「勿論。約束しましたから」 こうなることが分かっているのに、どうして寂しくなるだろう。 大阪城が終わりさえすれば、何かと忙しいこの男を久々に独占出来るのだ。大阪城にでずっぱりになると、あの時約束をしましたからと、終わった次の日は必ずやって来る。 いくら羞恥に苛まれようと、指折り数えて待っていればそれ以上に楽しかった。醜態をさらした過去の俺に唯一感謝するとしたらこの一点のみだろう。 『きみは明日1日中俺と遊ぶんだ。他のやつは絶対誘うんじゃない。いいか分かったか。約束しろ!』 きみにまっしぐら きょうははじめてたいちょうになったんだぞ。 まわりはれんどがたかいかたなばかりだったからきんちょうしたけど、みんなぶじにかえれてよかった。 ……ううん。みんなががんばったからだぞ。そうだ。きいてあつき! てきをたおしおわったあとに、みんなでしゅうごうするだろう。あのときに、つるまるくになががすごかったんだ。うまをひょいって! ぼくのむかいからつるまるがうまにのってきてるのがみえてたんだけど、そのうしろからだれかがうまをはしらせてるのがぼくにはみえたんだぞ。 ……それはつるまるのまうしろをいちごひとふりがはしってたからだぞ。だからうまのあししかみえなかったんだ。 まっすぐむかっていくから、そのままだとぶつかる、あぶないってぼくはいいかけた。 そしたら!きゅうにすうっとつるまるがうまをわきによけたんだぞ!よけたらそこからいちごがきゅうにでてきて、とてもびっくりしたぞ! ふたりともそのままふつうにならんできたから、れんどがたかいかたなには、あれがふつうなんだろうな。 ねえ、あつき。ぼくもあんなふうにうまにのれるようになれるとおもう? 金色の飴玉×見つめ合う瞳 鶴丸殿が先程から飴を舐めている。飴の形は色々あるが、それは大きな丸いもので、鶴丸殿が飴を左に右に転がすたびに、頬がぷくっとして愛らしい。 「どうひた。きみ、もいるかひ」 口内を大きな飴が占領しているせいか、しゃべりにくそうな鶴丸殿が飴の入った包みを開く。小顔だからお口の中も小さいんだよなあ。あの時も大変そうだし。 「いただけますか」 「いろんな、あ、あじがあふか、あるから」 「しゃべらなくても大丈夫ですよ。そうですね。あなたと同じものをいただけますか」 こくりと頷いた鶴丸殿が黄金色をした飴玉を一つ取り出した。指の先でつまんだそれを、私の顔に近づけてくる。 もしかして「あーん♡」してくださると!?望むところですと口を開けて待っていると、何をしてるんだと呆れたように言われた。 「あれ、違いました?」 目を開けると、思った以上に至近距離にいた鶴丸殿がにこーっと嬉しそうに笑った。 ちゅっと軽く口づけると、何かが私の足に当たった。鶴丸殿が持っていた飴玉を落としたのかもしれない。 飴を舐めているせいか、鶴丸殿の唇も飴のように甘かった。 「ごちそうさまでした」 「ひゃに、もが。ひゅるんだ!」 「違いました?」 「ひがう!」 勢いよく言ったため口から飛び出そうになった飴玉を、鶴丸殿が慌てて抑える。 「じゃあ何なんですか」 「それは……」 口元を抑えたまま鶴丸殿がそのまま口内で飴玉を遊ばせ始める。言いたくないらしい。私の足の上にとどまらず、畳の上まで転がって行っていた飴玉を拾い、ふうっと息を吹きかける。 「他のをやる。そっちは貸せ」 鶴丸殿が座っていたところへと戻って、また飴の入っていた袋を取り出した。 「おんなじ色のありますか?」 「他でいいだろ」 「同じのがいいです……」 諦めがつかず拾った飴と見て気付く。 「これ、あなたの瞳の色と似てません?」 私が言った途端鶴丸殿がそっぽを向く。 「あ、こっち見てくださいよ」 見比べますから。飴玉をつまんだまま鶴丸殿に近づこうとして、なるほどと思った。 「もしかして、私のものにも似ていましたか」 再度ぷくりと膨らんだ頬が、次第に真っ赤に染まっていくのが見えた。