小野家御妻女の告白 弐ノ巻
- ¥ 450
昨夏出した本「小野家御妻女の告白」の二冊目。つかず離れずの、政なつ。pixiv再録短編集(加筆修正あり)。全年齢・A5版・20頁。全8作品。450円。BOOTHにて頒布予定。よろしくお願い致します。 「小野家御妻女の告白」(一冊目)は、とらのあな様にて。こちらは僅かですが、大人向け表現がありますので、ご注意下さい。https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/040030858816/
【流れる香に】 「御酒を召し上がりますか」 静かな夕刻、秋の虫の音を聞きながら、縁側に座る政次に、声を掛けた。 「今宵は……遠慮しよう」 暫く場を離れたなつは、白く滑らかな香炉を手に戻って来た。 「香か」 「……お疲れの様ですので」 【春告草】 日の終わり、残していた書き付けの内容を、新しい紙に写す。 最後の行に筆を流れる様に走らせると、眉間の辺りに指を添えた。 どこからか花の香。邸に続く道の木々。咲き初めから数日の梅花。