👑カラー チョコレートカラーのムーンストーンをメインにお作りしました。 チョコレートカラーやレッドカラーが目立つよう、ダンデの髪色の菫色は柔らかなカラーが愛らしいスコロライトを選んでいます。 海外ではバレンタインは〝愛を告白する日〟ではなく、〝恋人と過ごす日〟なのだそうです。 普段からカップルとして過ごしている2人がバレンタインの日も当たり前に過ごして、もう一度愛を確かめ合う日。 そんな風に過ごしているといいなぁと思いました。 こちらはチャンピオン時代ではなく、オーナーになってからのダンデを思ってお作りしています。 告白に至るまでの葛藤や、思いのぶつけ合い、甘い恋人期間を経て、オーナーンデの隣にはキバナが当たり前にいる毎日を。 オーナーカラーの赤色のガーネットを大切に、 鮮やかな色ではなく調和を大切にお作りしました。 ==== バレンタイン 一色に染まる街中。 キバナのホームタウン、歴史を語るレンガ作りの街 ナックルシティも普段の荘厳空気感はなりを潜めて、この季節だけは浮足立つふわふわとした空気に包まれる。 ショーウィンドウには赤色やピンクが目立つようになり、カジッチュの愛らしいイラストが街のそこここを彩る。 飲食店のテラス席にはワインを片手に笑い合う男女や女性客が目立ち、それぞれのテーブルの上にはお決まりのように薔薇の花が活けられており、その赤色が視界の端をチラチラと掠める。 はぁと白い息を吐きながらそれらを横目に、迷いようも無いほどに何度も通った道程を慣れた足取りでたどる。 目的の建物に着きドアベルを鳴らすとほどなく扉が開かれて、家主が姿を見せる。 「よぉ、ダンデ。おつかれ」 寒い外から帰り着いたダンデを包み込む明るい室内の暖かな空気と、パートナーの声にほっと心が解きほぐされる。 「きみもお疲れ様」 軽い口振りで互いの今日の労を労う。 今日は業務を終えてからキバナの家で落ち合う、そういう約束になっていた。 招き入れられたリビングのテーブルの上には、小ぶりのフワラーベースに薔薇が一輪飾られていた。いつもの日常の中に紛れるバレンタインの慣習に心が擽ったくなる。 街中に溢れていた赤色が少しばかり羨ましかったみたいだ。 「あ」 そういえば俺も用意していたのだった、と羽織ったコートのポケットからショコラボックスを取りだしてキバナに手渡す。 「キバナ、これ途中で買ってきたんだ」 「お。サンキュ。俺さまここのチョコレート大好き」 「前にきみがそう言っていたから」 「覚えててくれたんだ？」 瞳がパッと輝いてから、蟀谷に軽くキスが落とされる。 キバナが言葉よりスキンシップが好きな質だと知ったのはいつの頃だっただろう。あの頃は言葉にしてくれないとわからないと何度もケンカをしたのだったが、今ではまるで大型のポケモンがじゃれて来るのをいなすように背中をタップして宥める手も慣れたものだ。 コートを脱いで手を洗ってから、キバナが用意してくれていた食事を済ませた。 それから二人してソファに並んで腰掛けてテレビを付ける。食事後はソファで寛ぎながらその日に行われた試合のハイライト情報を見るのが、すっかりとお決まりになっていた。 気に入りのクッションを抱いてブランケットに包まれながらキバナの肩にもたれかかる。 2人して3本開けた赤ワインのおかげでふわふわとした心地よい酩酊感が身体を包み込む。 ほんの少しもつれる舌で今の技はどうだ、俺なら構成を変える、なんて言い合っていると、不意にこんな話しに付き合ってくれるのはキバナだけだとぽかりと思い浮かんだ。 きっと幼馴染だって早々に匙を投げるし、弟だって「もうこんな時間なんだぞ」と時間を気にする体で席を立ってしまうだろう。 君だけだ、なんてー。 思わず、きゅうっと募った愛しさに肩からくるまるようにして被っていたブランケットの中の体温が上がったようだった。 ローテーブルの上には、酒のおともにと皿の上に並べられた軽いつまみと共に、プレゼントに渡したショコラがセンス良く並べられていた。 それをキバナは軽快に口に運んでは、赤ワインで気持ちよく喉に流し込んでいるようだった。 その手が最後のひとつのショコラに伸ばされるのが見えて、あっと思った時には先に手を伸ばしていた。 小さな子供ががん是なくチョコレートを欲しがるようになってしまった様子に、ちょっとばかりバツが悪くなる。 キバナの指先から奪ったショコラに、奪われた本人は困ったように眦を下げて笑う。 「ごめん、俺さまだけで全部食べちゃうところだったな。その…やっぱりバレンタインにチョコレートを貰えると今でも嬉しくてさ」 ダンデが食べて。と優しく掛けられる声に「そうじゃない」と前置きしてから、指先に摘まんだショコラをそのままにキバナの方へ向き直った。 少し身を乗り出すと、ぎしり、とソファが軋んだ音を立てる。 このソファも長く2人で愛用しすぎてすっかりガタが来ている。 けれど、それがいい。2人で過ごして来た時間の証みたいだ。 不思議そうにこちらを見る碧い目をじっと見つめ返す。 すっかり部屋着に着替えて、ついさっきまでキバナにもたれかかっていた右側の髪は乱れているだろうし。なんならブランケットだって被っている。抱いていた筈のクッションは床の上に転がっているし、なんにも恰好がつかないけれど。 いつもの夜の、いつもの見慣れたダンデだろう。 違うのは今日がバレンタインということだけ。 「なぁキバナ、Will you be my Valentine？ (俺の特別な人になってくれないか？)」 まるでプロポーズをするみたいに厳かに、いつかのようにもう一度 告白をする 渡すのはダイヤ輝くリングでもなく、上がる体温にとろけてしまった溶けかけのショコラだ。 「っふ、はは。当然だろ。俺さまのシュガマフィン」 キバナの眼がキョトンと見張られたかと思うと、途端に吹き出して破顔する。 その頬に赤みが差しているのはきっと酔いのせいだけじゃない。 キバナの腕が伸ばされて肩を抱かれたかと思うと、ぐいと距離が近づく。 近づいたまま目の前で口が大きく開けられ、指先ごとぱくりとショコラを飲み込まれてしまった。 がりっとショコラを嚙み砕く音がしてからごくりと喉が上下する。唇に微かについた溶けたチョコを嘗め取る舌がやけに艶ややかだ。 指先に触れる唇の体温に、知らずダンデの喉が鳴った。 「なぁ、ダンデ。俺さまからも言わせてー」 ==== 笑い合いながら寒い夜に暖かな室内でじゃれ合いながらいつまでも愛を囁き合って欲しいのです…。 使用石: チョコレートムーンストーン スコロライト ガーネット ロードライトガーネット 全長: フック込み約５㎝ 素材: 14kgf (イヤリング変更の場合はニッケルフリー素材になります) ※ハンドメイド作品ですので、工場製品ほどの強度ではありません。 優しく扱っていただきますようお願いいたします。 ※天然石には、クラック(ヒビ)や、欠け、色ムラが見られる場合がございます。 素材の魅力としてご理解いただけましたら幸いです。