「ディエンビエンフー・プレス5〜TRUE END〜」PDF
- ¥ 300
同人誌、136P、PDF 【解説より】 本書『ディエンビエンフー・プレス 完全版 5』は、2017 年から 2018 年にかけて双葉社「月刊アクション」にて連載されたシリーズ完 結編『ディエンビエンフー TRUE END』と、その導入として第一部を 新装復刊した『ディエンビエンフー 新装版』に関連して制作された冊 子や原画を中心に、グッズや、短編、インタビューなど、完結後に様々 な媒体で発表された作品群を加えてまとめたものです。 1P マンガ「とぅるえん通信」は『新装版』刊行時に配布された書店 向けのペーパー。「DBPPress TRUE END」は、小学館「月刊 IKKI」連 載中に定期発行していた冊子の『TRUE END』版です。冊子状態では なく「ペラ一枚」ですが、こうしてまとめるとボリュームがあります。 2017 年に刊行開始した『ディエンビエンフー TRUE END』の装幀は、 KADOKAWA 版、旧 IKKI 版、そして双葉社・新装版までを継続して担 当した柳谷志有に代わって、川名潤が担当。デザイン・コンセプトの変 更が行われ、従来のポップなカラーリングではなく、「戦争文学」的な ムードやリアリティが再設計されました。この大幅な路線変更に関して は、作者よりもむしろ長く読んでくれている読者こそが戸惑ったかもし れません。 『ディエンビエンフー TRUE END』の新デザインの模索は、作者にとっ ては冒険的で新鮮な作業となりました。線画を描き、コピックを使って 報道写真的な原画を仕上げ、それをデザイン段階で経年劣化(プラモデ ルで言う「ウェザリング」)させるという一連の作業は、過去のシリー ズとは異なり、いかにも「戦争文学」らしいシリアスでリアリティのあ る佇まいを生み出しました。 改めて考えると「TRUE END」という、やや苦し紛れのコンセプト は興味深いものです。完結を切望しながら、しかしその裏で物語が永遠 に続くことを願うアンビバレンス。「月刊アクション」での連載は制約 の強いものでしたが、その中で、様々な可能性を模索していたのだなと、 こうして当時の制作物を眺めると懐かしく実感できます。 2018 年『ディエンビエンフー TRUE END』は全 3 巻で完結。第 3 巻のカバーに描かれているのは物語の主人公ヒカル・ミナミとプランセ スの娘「プティ」であり、単行本の最終エピソードには 1978 年ベトナ ム軍のカンボジア侵攻が描かれています。物語が完結に向かって進む中、 同時に明確な「続編」の構想が浮かんでいたことがわかります。 完 結 か ら 4 年 後 の 2022 年 4 月、 新 連 載『 コ ム ニ ス ム ス (Kommunismus)』が始まりました。『TRUE END』完結から新連載が 始まるまでの4年間、ことマンガに関する最も大きな出来事は「電子書 籍の浸透」でしょう。本書の巻末に再録した 2020 年の飯田一史による インタビューからは、「月刊アクション」連載完結後の空白期間に、イ ンディペンデントな電子配信をコントロールすることで、創作の自由を 再び取り戻した経緯が伝わるはずです。 『コムニスムス』の舞台は 1975 年のカンボジア。主人公は前述した「プ ティ」。つまり『ディエンビエンフー』の正当な続編です。新たな世代 の物語は、紙の雑誌ではなく電子配信連載の形で「TMS-Lab」という IP 創造プロジェクトを媒体に隔週ペースで配信中です。 『TRUE END』に関わってくれた編集者、各デザイナー、各種媒体の 担当者、読者のみなさまに最大の感謝を。Xin Cam On.