「お前の怖いものなんて、俺だけでいいんだよ」
魘三小説本の二冊目になります。全年齢。「触れる」「雨」をテーマにした連作全3編(30ページ)を収録。2022年10月16日の日輪鬼譚で頒布したものです。
誰よりも傍に居た。誰よりも必要だった。暗闇の中で、夢の中で、少女は鬼に向かって手を伸ばす。この世の誰よりも恐ろしいはずのその鬼は、この世の誰からも見捨てられた少女に向かって手を差し出す。手が触れ合った瞬間、少女の手のひらには残酷な現実だけが残される。それでも触れようとせずにはいられない。少女は、終わりが分かっていても、繰り返し同じ夢を見る。