多くの者を魅了し続ける、蓬莱の仙薬。
その少女は薬を求めていたわけではなかった。
求める者には届かぬ薬は、やはり望まぬ者の
前へと運ばれ、
運命の歯車はキチキチと音を立てながら
それを彼女の目の前へと差し出した。
呪われた身体を抱きしめながら、
彼女は空を見上げる。
その瞳に映るのは、真円を描く月の輝きと
燃え上るほどの憎悪。
彼女自身は知っている。
それが消え去ることのない想いであることを。
それが───── 偽りの想いであることを。
今夜もいつもと同じ夜が始まる──────
永夜抄Exステージを小説化。全編シリアス小説です。
文庫 228p
厚み 1.2cm