紳士・淑女の皆様、ご来店誠にありがとうございます。 当商品に目を付けられるとはお目が高い。ことコストパフォーマンスに至りましては最高峰でございます。 体操着と一言で申しましても、その種類は膨大。しかし女性用体操着に限りましてはそれはそれは少のうございます。 そもそも男装と女装、これを明確に定義したのはキリスト教でございましょうな。まあ、太古より男女の体格差からの効率的な役割分担とそれぞれの性の特徴を最大限に生かす服装が自然に分かれていったことは想像に難くはないのですが、異性の服装を戒律で禁じたのはキリスト教がおそらく初めてでございましょう。 そんな中、スポーツというのは長らく「狩の延長」「戦の準備」という意味もあり、男性が主流でした。紀元前の競技は裸で行われていましたが、時代が進むにつれて丸出しでは困るということで、運動用の服装も進化してまいりました。そして近代に入り女性もスポーツを嗜む時代がまいりました。そこで苦労したのが女性用で運動に適した服装が全く無いことでございました。 前述のとおり、西洋では女性が男性用の体操着を着用することは戒律を越えて、文化的に禁忌であったのでございます。史上ではその戒律を破ってしまったがために神敵とされたジャンヌ・ダルクという者もあり、男装を嫌がる女性も多かったことでしょう。そして試行錯誤の末、誕生したのが女性用体操着の最高傑作とも名高い「ブルマ」だったのです。そうです最高傑作なのです。 そして物資不足の我らが戦後日本にも女子用体操服としてブルマが海外から輸入されることになりました。普及の一因となったのは初代東京オリンピックの『東洋の魔女』こと女子バレーボール日本代表の活躍であるという説があります。敗戦した欧米連合国を次々と破っていく女子バレー選手のブルマ姿は日本中の少年少女には英雄のように輝かしく映ったに違いありません。ブルマを体操服として採用した全国の学校長と教育委員会の中にも紳士や淑女が確かに存在いたしました。 時は流れ、実に様々な分野で日本が世界一になり、欧米列強による敗戦の雪辱をひょんなことから果たしてしまいました。『東洋の魔女』の栄光も過去の話でございます。すると、「なんで女子用の体操着はこんなに紳士的なの？」という疑問が各所から湧き上がるようになりました。気が付いてしまったのですね…日本はもともと異性の服装を受け入れることに何ら禁忌は無い文化でしたので、男性用の体操服を女性が受け入れるのも早かったです。たいへん残念ではありますが、諸行無常も世の常ならばこれも仕方のないことでございましょう。女性用体操着の最高傑作であるブルマが…日本の歴史の表舞台から姿を消しました。 という人類史そのものとも言えるブルマを上体操着とセットにまとめ、お求めやすくしたものが当商品でございます。表舞台からは姿を消したブルマですが、その裏では紳士の方々の愛用品として根強い人気を誇っていたのです。