獄中小説『獄窓』第20話 「民間刑務所」
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ー獄窓 あらすじー 歌手を志して上京した新村陽色に待ち受けていたものは、ケンカ、クスリに明け暮れるアウトローな日々だった。歌手として食べていくという夢とは裏腹に陽色は覚せい剤(シャブ)の売人として荒稼ぎ、贅沢三昧な生活を送っていたのだった。 そして気付けば自らもシャブの魔力にどっぷりと漬かってしまう。 そんな陽色の唯一の支えは慧という愛する彼女の存在だった。 陽色は一刻も早くこんな荒れ果てた生活から足を洗い、慧と幸せな家庭を築こうと思っていた。 しかし、シャブの上客だった鎌田の代金踏み倒しの事件から、陽色は自らを制する事が不可能となっていた。 そして遂に鎌田の住むビルへ自ら乗り込んでしまうのであった・・・ この物語は、新村陽色自身の実際の経験を元に刑務所生活の中で、 人間が自分自身の過ちや自分の居場所、考え方、現実に真っ向から向き合い 葛藤する姿を描いた物語である。 ~第20話 「民間刑務所」~ 新しく設立された民間刑務所へ移送され、新しい環境での懲役生活が始まった。懲役囚達の間では、新しくできた刑務所に移送されたのは選ばれた人間だろうから処遇は優しく仮釈も多くもらえるはずだ、などと希望的観測な噂ばかりが流れていたが実際は真逆だった。まるで新入工場の叩き上げのような厳しさに陽色は驚いていた。しかしどんなに厳しくされようが陽色は折れない心で貫き通すと決めていた。そして新しい工場へと配役され、新しい同囚達との生活が始まったのだが…。
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