それがぼくらのアドレセンス
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未来の少年少女の思春期と、世界の崩壊が同時に進行する連作SF小説集。B6サイズ、328頁2段組みの大長編。
第1章 steel gray(ドーム都市の少年)
劣悪な環境のドーム都市に住む15歳の少年トウジは昔を思い出していた。彼が尊敬してやまなかった少年ルイのことだ。彼はいなくなってしまった。鬱屈した思春期はここではますます絶望的に感じる。そこにあるはずのない外の世界から飛行機が飛び込んできて――。
第2章 canary yellow(洋館に住む少女)
15歳の少女沙良は苛立っていた。いつだって自分の後ろにカメラがついてくる生活に。隣に住む17歳の静雄は彼女より達観しているのか落ち着いていて、薔薇の花を育てている。そこに人型の薔薇がやってきた。ヒト薔薇と呼ばれるその薔薇は、話し、笑い、走る。そして美しい。沙良の心に醜い感情が芽生えてきて……。
第8回ハヤカワSFコンテスト最終候補作です。
10年ほど前から書いては中断し、段々膨大になっていく作品の文章量に焦りつつコントロールし続け、こんなに長い作品となりました。コンテストに応募した時と比べて冒頭の冗長さをかなり取り除けていると思います。この作品はカクヨムや小説家になろうでも読めますが、本として読めること、冒頭やその他の改稿がされている点では価値のある本だと思っています。分厚い本ですが、どうか買っていただけたら。