富田睦子第二歌集『風と雲雀』
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・2020年4月29日発行・角川書店・238ページ ・定価2600円(税別) 〈子狐のように冷たき手を下げて釣瓶落としを帰りくる子よ〉 〈母という「強くてnew game」めく時間九九の七の段風呂に唱えて〉 〈黒子ひとつ返り血のよう階段を上る女のアキレス腱に〉 〈まっすぐな足を持つ子らもっちりと並ぶ土曜のプールサイドに〉 〈羊羹のように輪切りにされてきた団塊ジュニアと呼ばれてわれら〉 〈マスカラを長く長くと塗るときに鏡の中に黒目狂気す〉 〈鍵の音 そののち帰宅の声がするその束の間をよる底冷える〉 〈叱られることは赦されることなのに肩甲骨を黙って洗う子〉 〈水滴は重たく枝をぶら下がるやがて零るる声となるまで〉 〈論争は殺し合いとぞ読みし夜を電波時計は三度またたく〉 〈ビロードのリボンのような風の路地こころのマントを翻しゆく〉 〈冷凍庫のすみの食パン霜を吐ききわどく古びたものもわれ食む〉