長い冬が終わり、いつ来るとも知れぬ春を探しに行った兄弟の物語――「春萌(きざ)す方」
初夏、ジャスミンの香り漂う夜にかどわかされるかのように睦み合うカップルたち――「ジャスミンの色は赤」
亡くなった母宛てに突然届いた正体不明の手紙の主の秘密と最後の願いを叶えるための物語――「手紙は灰に灰は薔薇に」
「声」そのものが猛毒である青年が生まれて初めて見出した希望――「ギフト」
「暴力」でしか繋がれない、互いの存在を確かめ合えない恋人たちの刹那的な日常――「ナイフのベクトル」
児童文学から官能的な物語まで、色とりどりの短編集となっております。