プロローグ

目を覚ますと、私は見知らぬ部屋の床に横たわっていた。ただ硬い床で寝ていただけでは説明のつかない痛みを全身で感じる。 体を起こしながら周りを見渡すと、私と同じように痛みに顔を歪めながら起き上がろうとする者が他にも4人、未だ伏せた者が1人、そしてソファに腕を組んで座っている者が1人いる。 ソファに座る者が口を開いた。

「皆様、やっとお目覚めですね。記憶が曖昧かもしれませんので、私から少しご説明いたしましょう。 私は辻遥（つじ　はるか）と申します。この屋敷の主である堀六（ほり　りく）様に仕える秘書兼ボディーガードでございます。そして驚くなかれ、そこに伏せているのがご主人である堀様の亡骸です。先ほど、私が一瞬お側を離れている間に、この書斎で亡くなっていました。 その後、屋敷の周辺にいらした皆様を気絶させ、ここに拉致させていただきました。 対応が早過ぎると思われるかもしれませんが、実は皆様は堀様に害をなす可能性があるとして以前からマークしており、監視もつけていました。 この世界ではすべての方が超能力をお持ちであるのはもちろん言うまでもないことですが、堀様の能力により、堀様は皆様の中の誰かに殺されることを事前に察知していたのです。」

「堀様を殺した人間がこの中にいることは分かっています。それが単独犯であるということも。ただし、どなたが犯人であるかは分かっていません。 そこで、堀様が遺言書で指示された形で、これから一種のゲームのようなものを実施いたします。 皆様が気絶している間に、皆様それぞれの体内にマイクロ爆弾を仕込ませていただきました。この爆弾はボタン一つで起動し、皆様の命のみを一瞬で奪います。 また、この部屋では能力を使えないようにしておりますので、無駄な抵抗はよした方が身のためです。 皆様には今からこの書斎の中にある手がかりをもとに話し合っていただき、犯人を推理していただきます。 最終的に皆様には、犯人だと思う方に投票していただき、最多得票数者を被疑者として扱います。ただし、観念して自首したい場合は、自らに投票してください。 被疑者が自首していた場合は、警察に逮捕していただきます。 また、被疑者以外の方が自首した場合も、同じく警察に逮捕していただきます。 ただし、被疑者が自首していなかった場合、その方は堀様の遺志により、爆死していただきます。 それでは、ゲームスタートです。」