言葉だけが最後に残る 鷲羽巧エッセイ集
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《あらゆる細部は失われる。残るのは言葉だけだ》――ささやかな信条表明である表題エッセイ「言葉だけが最後に残る」のほか、2018年末からブログ〈鷲はいまどこを飛ぶか〉で書いてきた書評・評論・エッセイを集成。「読書日記」6年分を中心に、京大推理研の『九尾の猫』読書会で高い評価を得たレジュメ「人間を数字にすること」、『舞踏会へ向かう三人の農夫』を参照点としてパワーズの現時点での翻訳長篇を総ざらいした「舞踏会へ向かう/から延びる幾つかの道」、小川哲『地図と拳』を建築論=小説論として再構成した「満州で過ちを測る」、自伝的エッセイにして『すずめの戸締まり』を語らずに語る異形の断章「ここから先は何もない」、そして小説の感想の書き方をいちから説いた対話篇「感想をどう書くか/なぜ書くか/何を書くか」など、読むことと書くことに取っ組み合ってきた、6年間の記録と記憶。A5判、426頁。 以下、目次です。
【Ⅰ――評論】
殺された神と、過ぎ去りゆくもの――天城一「高天原の犯罪」を読む 走馬灯の代わりに 人間を数字にする――エラリイ・クイーン『九尾の猫』を読む 舞踏会へ向かう/から延びる幾つかの道――リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』を読む 満州で過ちを測る――小川哲『地図と拳』を読む カモガワ書評 (ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』/ジーン・ウルフ『ジーン・ウルフの記念日の本』/バオ・ニン『戦争の悲しみ』/ボフミル・フラバル『わたしは英国王に給仕した』/石牟礼道子『苦海浄土』)
【Ⅱ――読書日記】
2019年 (アガサ・クリスティー『象は忘れない』/ドロシー・L・セイヤーズ『ナイン・テイラーズ』/エラリイ・クイーン『フォックス家の殺人』) 2020年 (伴名練編『日本SFの臨界点[恋愛篇]』『同[怪奇篇]』/高山羽根子『首里の馬』/山白朝子=中田永一『死者のための音楽』『百瀬、こっちを向いて。』『吉祥寺の朝比奈くん』/前川修『イメージのヴァナキュラー』/ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』/山村正夫『疫病/断頭台』) 2021年 (阿津川辰海『蒼海館の殺人』/青山文平『泳ぐ人』/パヴェウ・ヒュレ『ヴァイゼル・ダヴィデク』/真藤順丈『われらの世紀』/コリン・デクスター『死者たちの礼拝』/鮎川哲也『死のある風景』/呉明益『複眼人』/多岐川恭『氷柱/おやじに捧げる葬送曲』/デイヴィッド・ピース『TOKYO YEAR ZERO』/横溝正史『悪魔が来りて笛を吹く』/ヘレン・マクロイ『家蠅とカナリア』/ヘレン・マクロイ『月明かりの男』/ヘレン・マクロイ『逃げる幻』/ロス・マクドナルド『ウィチャリー家の女』/ロス・マクドナルド『ドルの向こう側』/ロス・マクドナルド『一瞬の敵』/ジュリアン・バーンズ『イングランド・イングランド』/スティーヴン・ミルハウザー『三つの小さな王国』/パトリシア・ハイスミス『贋作』/アガサ・クリスティー『忘られぬ死』/アガサ・クリスティー『ねじれた家』/スティーヴン・ミルハウザー『バーナム博物館』/ヤツェク・ドゥカイほか『BABELZINE Vol.2』/ポール・オースター『ガラスの街』/スティーヴン・ミルハウザー『ナイフ投げ師』/スティーヴン・ミルハウザー『夜の声』/マイケル・オンダーチェ『戦下の淡き光』/逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』/ジュリアン・バーンズ『終わりの感覚』/スティーヴン・ミルハウザー『十三の物語』/ジョン・ル・カレ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』/クリストファー・プリースト『魔法』/カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』/坂永雄一ほか『カモガワGブックス Vol.3』/ジョン・ディクスン・カー『緑のカプセルの謎』/ダニエル・リー『SS将校のアームチェア』/R・A・ラファティ『町かどの穴』/ジョン・ディクスン・カー『四つの凶器』/滝口悠生『死んでいない者』/小森収編『短編ミステリの二百年〈6〉』) 2022年 (大山誠一郎『記憶の中の誘拐』/麻耶雄嵩『蛍』/綾辻行人『霧越邸殺人事件』/有栖川有栖『絶叫城殺人事件』『暗い宿』/連城三紀彦『運命の八分休符』/カイ・T・エリクソン『そこにすべてがあった』/井上荒野『小説家の一日』/沢木耕太郎『天路の旅人』/米澤穂信『栞と嘘の季節』/リチャード・パワーズ『惑う星』/ケネス・ブラウワー『宇宙船とカヌー』/ジェフリー・ディーヴァー『魔術師』) 2023年 (笠井潔『哲学者の密室』/ドン・デリーロ『ホワイトノイズ』/リディア・デイヴィス『分解する』/北山猛邦『オルゴーリェンヌ』/ティム・インゴルド『生きていること』/米澤穂信『可燃物』/有栖川有栖『白い兎が逃げる』/コーマック・マッカーシー『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』/法月綸太郎『法月綸太郎の功績』/髙村薫『マークスの山』/打海文三『ハルビン・カフェ』/山内朋樹『庭のかたちが生まれるとき』/東浩紀『訂正可能性の哲学』/石牟礼道子『苦海浄土』/藤原辰史『歴史の屑拾い』/小川哲『君が手にするはずだった黄金について』/京極夏彦『鉄鼠の檻』/山田風太郎『太陽黒点』/クリストファー・アレグザンダー『まちづくりの新しい理論』/結城正美『文学は地球を想像する』/石岡丈昇『タイミングの社会学』/本田晃子『革命と住宅』/スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』/松井和翠『和翠の図書館Ⅰ』/北村薫『遠い唇』/アドルフ・ロース『装飾と犯罪』/藤原辰史『ナチスのキッチン』/多川精一『戦争のグラフィズム』/アラン・コルバン『記録を残さなかった男の歴史』/イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』/ホルヘ・ルイス・ボルヘス『シェイクスピアの記憶』/アンソニー・ドーア『すべての見えない光』) 2024年 (恩田陸『象と耳鳴り』/京極夏彦『狂骨の夢』/ティム・インゴルド『ラインズ』/J・D・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』/ケヴィン・リンチ『時間の中の都市』/ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』/有栖川有栖『長い廊下のある家』『妃は船を沈める』/カルロ・ギンズブルグ『糸と痕跡』/S・S・ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』/エドガー・アラン・ポー『黒猫』/ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』/北山猛邦『天の川の舟乗り』/横溝正史『八つ墓村』/古野まほろ『禁じられたジュリエット』/ロバート・ダーントン『検閲官のお仕事』/カルロ・ギンズブルグ『裁判官と歴史家』/大岡昇平『事件』/コーマック・マッカーシー『通り過ぎゆく者』『ステラ・マリス』/松浦寿輝・田中純・沼野充義『徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術』/米澤穂信『巴里マカロンの謎』/米澤穂信『冬期限定ボンボンショコラ事件』/S・S・ヴァン・ダイン『グリーン家殺人事件』/有栖川有栖『双頭の悪魔』/米澤穂信『氷菓』/ケヴィン・リンチ『廃棄の文化誌』/宮田眞砂『セント・アグネスの純心』/澤木喬『いざ言問はむ都鳥』/笠井潔『バイバイ、エンジェル』/円城塔『文字渦』/fudaraku『竜胆の乙女』/三津田信三『首無の如き祟るもの』/野村美月『文学少女と死にたがりの道化』/上遠野浩平『ブギーポップは笑わない』/アレックス・ライト『世界目録をつくろうとした男』/フランコ・モレッティ『遠読』/青羽悠『凪に溺れる』/恩田陸『ユージニア』/山尾悠子『初夏ものがたり』/米澤穂信『愚者のエンドロール』/トム・ガニング『映像が動き出すとき』/日高優『日本写真論』/はやみねかおる『少年名探偵 虹北恭助の冒険』/田中純『過去に触れる』/巽昌章『論理の蜘蛛の巣の中で』/米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件』/髙村『レディ・ジョーカー』/有栖川有栖『日本扇の謎』/北村薫『ニッポン硬貨の謎』/米澤穂信『クドリャフカの順番』/野家啓一『物語の哲学』/松沢裕作『歴史学はこう考える』/ローラン・ビネ『HHhH』/河野裕『彗星を追うヴァンパイア』/安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』/久住四季『神様の次くらいに』/小川哲『スメラミシング』/SOMI『未解決事件は終わらせないといけないから』/岡真理『記憶/物語』/ホルヘ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』/町屋良平『生きる演技』)
【Ⅲ――エッセイ】
言葉だけが最後に残る 壁の向こうの住人 壁と言葉、あるいは日々を生きることについて 収集・記憶・物語 感想をどう書くか/なぜ書くか/何を書くか――あるいは、きみたちはどう生きるか 連鎖と転用――終末に臨んで、ピタゴラ装置について考えるときに考える幾つかのこと ここから先は何もない――映画『すずめの戸締まり』について