
・カテゴリー 小説 純文学 ---------------------------- サイズ:A6文庫本(105 mmx148 mm) ページ:30p(本文) 初版:2024年9月 ISBN:978-4-911376-00-3 出版社:黒水舎(日本図書コード管理センター登録記号番号:911376) ---------------------------- ・収録内容 収容所は今日も晴れ 3 夢の引力 17 あとがき 27 「収容所は今日も晴れ」 ある収容所。日課として、口腔を玩具にされ続ける離人状態の主人公。太陽はただ照りつけている。クライストの地震、ハイムの黒い詩情、カミュの太陽を思い出す人もいるかもしれない。 「夢の引力」 来ない助けを待ち続けている。水没した都市の廃ビルを、屋上を目指してのぼる二人の男。 ※あとがきより なぜ書くのか。 読むということだけを続けてきた。ある時、それが非常に受け身に感じることがあった。それは小説に限らずだが、書かれている内容や作者の主張にしか自分の注意が向かわなくなっている気がしたということでもあった。 また創作を行っている人が綴った感想を目にした時、読むことしかしない自分の感想との違いが気になった。知識量や読む力以外の別の力学が働いている気がした。細かな綾への目の配りかたの違いは、自分がただ受け身に作者からの伝達を受信しようとしているからのような気がした。そもそも作者は、「伝達なんてしようともしていないかもしれないという可能性は考えなかったのだが。作者はただ言葉を発声しただけかもしれなかった。初めて海をみたとき、音を発した原初の人間のように。 そんな自分の感想が正しい感覚だったかどうかは別にして、とにかく書くという能動的な動きをすることで、読むことも能動的になれるのではないかと思いたったのが始まりだった。 そういう意味で非常に自己に向かっている。 しかし生活や営みが小説を生み出すという人もいるが、自分は生活や営みに特別な意味を感じない。小説によって何かを伝えたかったり、理解してほしいという目的も抱いていない。それに「作品が作品を生み出すのではなく、人間個人が生み出すのだ」と言えるほど、個人に何かを生み出すほどの価値を感じていないし、信用もしていない。 だから書く事は、自己目的化したガラクタいじりに近いかもしれない。 ---------------------------- ・本の仕様 表紙:活版 本文:オフセット印刷 製本:PUR製本 定価:700円 全冊ビニールつき 送料は370円