文庫判、38ページ
書き下ろしの短編です。
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七月最後の登校日、ふり向いた慈雨はわたしの知らない顔をしていたーー
慈雨は引っ越しの準備がたいへんだということと、お父さんが何度か荷物を取りに車で来てくれるのだということを言った。うちは車がないから、車で三十分の距離、というのが近いのか遠いのかよくわからなかった。でも学校を移るってことは遠いってことなんだろう、とひとりで納得して、なにかに抵抗するみたいにガードレールの外側を歩いて帰った。
14才、慈雨がいなくなる夏。