「第三批評」創刊号《アジアのまなざし》
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私たちはアジアをどのようにまなざし、そしてアジアにどのようにまなざされているのだろうか——。 『第三批評』創刊号「アジアのまなざし」では、個人的な記憶、アジア映画における風景や俳優のあり方、NewJeansの纏う懐かしさ、そして芥川賞作家である町屋良平さんを迎えた、新刊『私の小説』の批評を手がかりに、〈アジア〉における〈私〉と〈批評〉の立ち位置を探っていきます。 日本に暮らし、日本語で文章を書く私たちにとって、アジアはどう在るだろうか。 (A5判型、224頁)
特集紹介
創刊号には四つの特集が収められています。 ◎ 第一特集「記憶するアジア」 〈アジア〉を批評の対象とするとはどういうことなのか、〈アジア〉とはそもそも何か。メンバー一人一人の記憶の中にあるごく個人的な体験を手がかりに話し、書く特集となっています。韓国の生活詩を起点に、日本語と他言語の関係性、アジアとの距離などを扱っています。 ◎ 第二特集「ザ・バンドに立つトニー・レオン」 アジアの風景の中で俳優はどのように演じ、カメラはどのように撮ってきたか。侯孝賢やウォン・カーウァイ、アピチャッポン・ウィーラセタクンなどの映画作家たち、ペ・ドゥナやトニー・レオンなどの俳優たちを元に、人物と風景の間にある境界、それらと観客、そして土地やその歴史との関係性について考えていきます。 ◎ 第三特集「NewJeansを見ると、思い出す」 NewJeansを見るときに感じられる懐かしさは何なのだろうか。この特集では“Ditto”や“Cool with You”などNewJeansのミュージックビデオを、Y2Kやオルタナティブカルチャーなどの文脈と照らし合わせながら批評することで、NewJeansにおける出立ちやファッション、撮影について検討していきます。 ◎ 第四特集「『私の小説』を批評する 町屋良平さんを迎えて」 芥川賞作家である町屋良平さんの新刊『私の小説』を批評することを通じて、小説や批評における〈私〉とは何であるのか、改めて検討する特集となっています。座談会では、町屋良平さん本人を迎え、私小説とは何か、男性の加害性とどう向き合うかなど、様々な話題について語っていただきました。 また、創刊号には特集ごとに、合計四つの座談会が収められています。話題を広げつつ、互いに問いかけ応答することで、一人では得られなかった視点を得ることができる、それが座談会の醍醐味です。メンバーが協働して言葉を紡ぎ、互いに第三の眼となる過程をお楽しみください。
目次
巻頭言 ■ 第一特集「記憶するアジア」 座談会|記憶するアジア 批評|第三批評ことはじめ|土岐小映 批評|韓国詩が灯すもの|戸田俊之介 批評|アジアに記憶を預ける 『別れを告げない』にみる距離と人情|常森裕介 批評|近い国、遠い国|宮﨑征男 批評|言語の磁場にて|近藤真理子 ■ 第二特集「ザ・バンドに立つトニー・レオン」 座談会|ザ・バンドに立つトニー・レオン 批評|スクリーンに開く窓——アピチャッポン・ウィーラセタクンの長編映画における二重写しとメタ演出|河本直紀 批評|フレームを操る者たち|沼次郎 批評|風景としての映画|今津祥 批評|カーウァイ映画の映し出す時間と誘発される雨|前田友作 批評|歌うぺ・ドゥナと踊る子を見るぺ・ドゥナ|常森裕介 批評|ザ・バンドに立つトニー・レオン 戦間期上海表象の電影的変容を巡って|土岐小映 ■ 第三特集「NewJeansを見ると、思い出す」 座談会|NewJeansを見ると、思い出す コラム|書きあぐねると思い出す|土岐小映 批評|私たちが共有する記憶——NewJeans『Ditto』論|吉田瑠夏 批評|現実の幻想:NewJeans『Ditto』から見えるもの|原田敏文 批評|アルバムに刻まれる「瞳」——Dittoの鹿が見ている世界|宮﨑征男 批評|NewJeans『Ditto』——シン・ウソクとヴィンセント・ムーンが提示したこと|戸田俊之介 批評|含み笑いする トニー・レオン|土岐小映 批評|ミンジの『踊り子』を見ると、思い出す——アジアの文化としての「カラオケ」|常森裕介 批評|NewJeansとファッション|原田敏文 批評|NewJeansを見ると思い出すセカイ|秋山拓 ■ 第四特集「『私の小説』を批評する 町屋良平さんを迎えて」 座談会|町屋良平『私の小説』を批評する 批評|「おかしな二人組」としての文体——『私の小説』論|吉田瑠夏 批評|私の書評|前田友作 批評|自然と演技の間で|今津祥 批評|疾風怒濤に駆け抜ける——小説の行間に批評の低音がうねっている|宮﨑征男 批評|アジアのそと ——町屋良平『私の小説』がかかれるからだ——|土岐小映 批評|日本の『私』の小説|常森裕介 執筆者紹介 編集後記
第三批評について
第三の視座に立つ批評誌『第三批評』は、佐々木敦が主任講師を務める「映画美学校言語表現コース ことばの学校」第三期、最初で最後の批評クラスの卒業生を中心に創刊されました。紙媒体だけでなく多様なメディアを通じて、〈批評されるもの〉と〈批評するもの〉これら二つの関係性を第三の視点から見つめることで、新たな批評の文脈を作り上げることを目指します。