勇者庁 危機管理室 魔王事案対策担当 事案1:サカナ(著・ロケット商会)
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かつて、勇者は実在した。 ――もちろん大昔の話だ。 ガス灯が道を照らし、機電列車が街を走る現代において、勇者なんて時代錯誤も甚だしい。それが一般的な認識だ。 いまも勇者は生き残っていて、影から密かにこの国を守っている――そんな話を真に受けるやつはどうかしている。 そもそも実在したかどうかも怪しいものだ。学校の歴史の授業で「最後の大戦」について教えるときも、勇者なんて言葉はどこにも出てこない。話題にしてもおとぎ話の一種だ。 勇者は古い時代の迷信か、そうでなければ当時の国家群が仕掛けた情報操作、あるいはプロパガンダ、あるいは後世の創作。みんなはそう信じている。 しかし俺のような人間にとっては、まったくおとぎ話ではない。 勇者は現代も存在する。残念なことに。 少なくとも我らが共和国の内務省の組織図には、公には決して明かされないが、しっかりとそういう役職が刻まれている。