
『告白しょーる?』 小島宇良 どうしてみんなは当たり前のように、 告白したり、されたりができるのだろう。 初めて告白されたその日、私はひどく狼狽し、告白してくれた人を傷つけた。 恋愛というものにいつまでも近づけない自分は、どこかおかしいのだろうか――そんな周囲との「ずれ」を感じながら、ラジオの投稿に全てを注ぐ少女・野田、片想いに苦しむ友人・美夏との交流を通じて、自分の気持ちを言葉にする方法を、少しずつ探していく。 岡山に住む高校生の、なんでもないお話。 『なごしのはらえ』 雨下雫 なごしのはらえで「なかった」ことに。 そんなことって、あるのかな。 三十歳の節目にマッチングアプリを始めたわたしは、さっそく感じの良さそうな男性と六月の鎌倉デートにこぎつけたのだけれ……。 思い描いていた彼も憧れのカフェもあじさいの景色もそこになく、あるのは終わりの見えない祝詞の合唱。 こんなはずじゃなかったことばかり。わたしの厄を、後悔を、夏越の祓が、「なかった」ことにしてくれる。 そんなことって、あるのかな。
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